【日野 デュトロ 新型発表】燃費1.5倍、見切り発車で発表し開発陣を刺激

自動車 ニューモデル 新型車
日野 デュトロ 新型発表
日野 デュトロ 新型発表 全 6 枚 拡大写真

クルマに限ったことではないが、新製品の開発とは挑戦の連続だ。それでも経営陣はとかくコストや収益率といった部分を重視しがちで、エンジニアが目指すものづくりを存分に発揮し難い環境になるのが常というもの。ところが、このところの日野はいささか違ったようだ。

燃費の大幅向上を掲げ、エンジニアに奮起を促した。何と記者会見で次世代小型ハイブリッドトラックの燃費を従来ディーゼル車比で1.5倍に伸ばすと発表してしまったのだ。昨年10月半ばのことである。

慌てたのは新型『デュトロ』の開発チームだろう。もちろん燃費改善にはある程度の目処は立っていたからこそ発表したのだろうが、さらに高いハードルを目の前に掲げられ、クリアする期限まで定められてしまったのだから。

「敢えて高い目標を掲げることで、エンジニアのハートに火を付けました。達成することが困難な目標に向かって、何とかやり遂げようとするのがエンジニアの本性だと思ったからです」。自社のエンジニアを信頼し、困難に挑戦させた日野自動車代表取締役の白井芳夫社長はこう語った。

「やるしか…ない」。デュトロの開発チームは、ハイブリッド技術を進化させるだけでなく、パワーユニットやボディなどクルマを構成するすべての要素を見直したのだった。

例えばボディは真っ先に空気の壁にブチ当たるキャビンの形状を大胆に変え、トラックとしては異例なほどフロントウインドウを寝かせ、ボディサイドも前方へ行くほど絞り込むことでCD値を30%も改善したそうだ。

先代のデュトロ・ハイブリッドではトヨタのハイブリッド車と部品の共用化が図られていたが、新型ではモーター、インバータ、バッテリーパックの主要コンポーネンツを新開発し、トラック用として最適化されている。

その結果、2t積みハイブリッド車では重量車モード燃費値で12.2km/リットルを達成したのである。これは積載量50%を想定したパワートレインだけのシミュレーション測定だが、満載でも半減するものではない。プリウスの6倍近い積載量を誇ることを考えれば、この燃費がいかに凄いことか分かるだろう。

乗用車に比べモデルチェンジのサイクルが長いことからロングセラーが期待できる商品だけに、開発に力を入れやすいという状況も確かにある。それでもディーゼルエンジンに対する規制は厳しくなり、各メーカーも排ガスや燃費向上技術に暇がないから、トラック業界の開発競争は決して甘いものではない。

ハイレベルな市場において一歩抜きんでるためには、これまでとは比べ物にならない努力がエンジニアに求められる、ということだ。そして日野のエンジニアたちは、見事にそれをやってのけたのである。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車内が即ネット空間に! 新型USB型Wi-Fiルーターがドライブを変える[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. トヨタの新型EV『アーバンクルーザー』をくまなくチェック!…詳細画像記事ベスト5 2025年上期
  3. ついに「パジェロ」の名前が日本復活!? 三菱の新型SUV、デザイン&スペックを大予想!
  4. 狭い道! 制限1.9mだが何かがおかしい…東京都小金井市
  5. 六連星の意味を探る! 航空機のDNAが息づくスバルのデザイン
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る