東日本大震災と物流…なぜ届かなかったのか?

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東日本大震災発生から3か月
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「緊急輸送は端末輸送が大事」。5日、東京・汐留で開催された日本物流不動産評価機構(JA-LPA)推進協議会主催のセミナーで流通経済大学流通情報学部の矢野裕児教授が語った。

「なぜモノが届かなかったのか?」「なぜ首都圏でモノがなくなったのか?」の2点について所見を述べた。矢野教授は日本テレビ『世界一受けたい授業』に出演するなど、物流のわかりやすい説明で定評がある。

「災害時の物流には、緊急物流と一般流通があります。この2つを分けて考えなければなりません」

災害の初動対応では、最初の72時間は人命救助が最優先となる。食糧・生活物資はまず、被災地の在庫でしのぐというのがこれまでの前提。しかし、今回は津波で在庫がゼロになってしまった。初期から緊急物資輸送の必要性がでた。緊急救援物資をいち早く供給するには、需要の要請を受けて送り込むプルシステムから、要請を待たずに供給するプッシュシステムに変更しなければならない。

しかし、全体として緊急物資輸送はうまく機能しなかった。県の一次集積所や市町村の二次集積所への「入」はあったが、各避難所への「出」がなく、集積場には物資が積みあがってしまった。原因は、自治体自体も被災して対応できる人材が不足、指定、自主合わせて2500か所とも言われる避難所の把握が難航、燃料不足など。集積場から避難所への末端物流の重要性を力説した。

その後、自治体に民間の物流専門家が派遣され、状況はある程度好転した。役所に代わって端末輸送を行った事例として、陸前高田市/自衛隊、気仙沼市/ヤマト運輸、石巻市/佐川急便を挙げた。

また、被災地での仕分け労力を軽減するためには、生活物資を「セット化」して送り込むことが必要と指摘した。

《長野潤一》

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