マツダ『デミオ』がマイナーチェンジで「SKYACTIV」を搭載してきた。といっても完全なSKYACTIVではなく、デミオでは主にエンジンの圧縮比を高めることで効率(燃費)を良くした仕様が設定され、SKYACTIVのATではなくCVTが組み合わされている。
フルにSKYACTIVを適用したわけではないのに、10・15モード燃費で30.0km/リットルというハイブリッド車並みの低燃費を達成したのだから、大したものだ。
箱根のワインディングで試乗したときには、あまり燃費を意識せずに走らせた。これまでのデミオのエンジンに比べると動力性能の数値はわずかに低くなった(排気量も50cc小さくなった)が、走りの元気の良さに違いは感じられなかった。
むしろ足回りのチューニングを変更したことで良く走るようになった印象があった。同時にSKYACTIVには転がり抵抗の少ないタイヤが採用されたことが、ワインディングでの走りにややマイナスになった部分もあり、このあたりは総合的に見てやや微妙な印象だった。
東京から仙台までの長距離エコランでは、高速道路を80km/hから90km/hくらいで走り、しかもエアコンを使わないというエコランに徹した走りをした結果、一般道区間も含めた総合で27.42km/リットルという好燃費を記録できた。
これは燃費重視の極端な走り方をした結果なので、日常ユースではなかなかこの数値は出ないと思うが、その気になればとても燃費の良い走りをすることが可能なエンジンであるのは間違いない。
ただ、突っ込みどころもいろいろあるのがデミオのSKYACTIVだ。
燃料タンクの容量を35リットルに減らしたり、あるいはほかのグレードには標準で装備される後席中央の3点式シートベルトやヘッドレストレイントをSKYACTIVではオプション設定にするなどして軽量化を図ったにもかかわらず、i-stop用の大型バッテリーの搭載などが響いて車両重量が1010kgになっている。
これによって自動車重量税が5000円/年高くなる。経済性の面では30.0km/リットルの燃費が10%ダウンしたのと同じ計算になってしまう。重さに関しては、さらにもうひと頑張りして欲しかった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。