【三菱 デリカD:3 試乗】シンプルで多彩なシートアレンジの次男坊…青山尚暉

試乗記 国産車
デリカD:3
デリカD:3 全 30 枚 拡大写真

良くできた道具はシンプルである。

【画像全30枚】

三菱『デリカD:3』を数日間、乗り回してみたら、そんな言葉が思い浮かんだ。

デリカD:3には3列シート、7人乗りのG、2列シート、5人乗りのMがラインナップされるが、クルマを道具として使いこなしたい多人数乗車ユーザー、アウトドア好きなユーザーだけじゃなく、愛犬といっしょにドライブすることが日常的な愛犬家にも最高の、ライバルなき1台と断言したくなった。

ボディサイズは全長4400×全幅1695×全高1850mm。つまり、弟分のD:2よりふたまわり大きく、兄貴分の『D:5』よりふたまわりコンパクト。このサイズ、日本で使うにはちょうどいい。おかげで最少回転半径は5.2mとかなり小回りが効く。スライドドアだから狭い場所での後席の乗降性も抜群だ。

乗降性の良さを決定づけるのがフロアの低さ。1列目席のステップは地上386mm、スライドドア部分のステップは地上455mmのワンステップフロアと、どちらもごく低い。

運転席に乗り込めば、自然かつ高めのドラポジによる爽快な見晴らし視界、シンプルな操作系、使いやすい収納類に満足、納得できる。マルチインフォメーションディスプレイには平均燃費、平均速度、瞬間燃費、航続可能距離、燃料計、メンテナンス情報などが表示され、平均燃費計はエコ運転の目安になるから嬉しい。

良くできた道具としての最大の魅力はシンプルでいて多彩なシートアレンジ。何とその数39通りもあるから凄い。

たとえば4人以下の乗車では2列目席をそっくりコンパクトに格納すると、2座の3列目席の足元には奥行き700mm、幅1180mm、高さ1305mmという広大なフロアが出現。その空間はまるでリビングルームのようでもあり、大型犬2頭をソファに見立てた3列目席の足元で寛がせることだってできる(フロアにクッションを敷いてやるとより快適)。その場合、愛犬は家族の中心にいられるわけで、安心してドライブを楽しめるのだ。

左右ハネ上げ式の3列目席の片方を格納すれば、愛犬をフロア高490mmという、ミニバン、ワゴンを問わず、世界でもっとも低い部類の荷室フロアへ車体後部から乗り降りさせ、3列目席に座った乗員のすぐ横にいさせることだってできるのだ。

つまり、愛犬の乗り方、乗せ方は自在。さらに3列目席には専用クーラーが備わり、暑さが苦手な犬も快適至極。ちなみに2列目席の窓の開閉は個性的な横スライド式の小窓タイプ。換気に有効で、犬が顔を出しても、外に飛び出す心配がない。

走ってもデリカD:3は期待以上だ。14インチタイヤ、前後スタビライザー付きの足回りによる乗り心地はマイルドで快適。それでいてカーブや高速レーンチェンジ時には足回りがねばりにねばり、重心の高さを感じにくい安定感抜群のフットワークを示してくれるから安心安全だ。山道を普通のセダン並みのペースで飛ばせる、と言えばその実力ぶりが分かってもらえるだろう。

エンジンは1.6リットル、109ps、15.5kg-m。ミッションは4AT。スペック自体は平凡だが、しかし車重が1350kgと軽量なため、速度に乗れば想像以上に活発に走ってくれる。クルージング中の静粛性もなかなかで、1〜3列目席間の会話明瞭度も合格点なのである。

デリカD:3は人と荷物(自転車3台が積める)をバランス良く乗せ、積めるシンプルな道具としての完成度の高さはもちろん、世界屈指のペットフレンドリーカーとして認定したい1台だ。しかも価格は200万円以下。10・15モード燃費13.2km/リットルと、お財布にも環境にも優しい。試乗した愛犬のラブラドールレトリーバーのマリア(メス・6歳)も大いに気に入った様子。何しろ、D:3でドライブした後、しばらく降りようとしないんですから。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフジャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組も手がける。

《青山尚暉》

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