【ホンダ フリードHV 試乗】走りの質感を向上させたハイブリッド…松下宏

試乗記 国産車
フリードハイブリッド
フリードハイブリッド 全 6 枚 拡大写真

ホンダ『フリード』がにマイナーチェンジを受けるとともに、ハイブリッド車を追加設定した。今回のマイナーチェンジでフリードは8人乗りと5人乗り(FLEX)が廃止され、6人乗りと7人乗りの設定になった。

窮屈な感じのあった8人乗りの3列目を2人掛けにしてゆったりした空間にするとともに、5人乗りはスパイクに任せた形である。この改良に合わせて全席に3点式シートベルトを装備し、横滑り防止装置を設定するなど、安全装備が充実したのは特に評価できる点だ。

外観デザインは小幅な修正を加えた程度で、ハイブリッド車はフロントグリルや前後のランプ回りにメッキ調やクリアレンズを採用するなど、専用の外観が与えられた。

内装も専用の配色を施したほか、走行状態に応じて色の変わるメーターを採用するなど、ハイブリッド専用のインテリアを持つ。

ハイブリッド車に必要な電池や制御系は3列目シートの床下に配置され、これによって床面が65mmほど高くなったが、乗員の居住空間には影響が出ていない。シンプルなメカニズムのIMA方式ハイブリッドの良さが表れた部分だ。

フリードハイブリッド用のIMAは1.5リットルエンジンに電気モーターを組み合わせた。システムとしてはCR-Zなどに搭載されたのと同じだが、ミニバンのフリードに適した仕設定として、パワーを抑えてトルクを重視する仕様とされている。

1.5リットルエンジンの動力性能は65kW/132Nmとやや控えめだが、これに10kW/72Nmの電気モーターを組み合わせることで、1.8リットル車並みの動力性能を発揮する。ミニバンとして多人数乗車にも耐える動力性能だ。

電気モーターはアクセルを踏み込んだ瞬間にすぐにトルクが立ち上がり、フリードの走りをスムーズで力強いものにしている。

インパネ内に設けられたECONボタンを押して燃費走行を心がければ、静かで滑らかなハイブリッド車らしい走りが可能。燃費もJC08モードで21.0km/リットルを達成した。

信号待ちなどで停車としたときにはアイドリングストップ機構がすぐに働いてエンジンが停止する。再始動時の振動や騒音は多少は気になるが、まあ許容できる範囲内だ。

アイドリングストップ機構はクルマが完全に停止する直前に働くようになった。状況によっては、エンジンが止まってすぐにクルマが停止する前に再び加速するシーンもあるが、そのようなときにも違和感を感じさせることなく加速できた。

重い電池や制御系を後方の低い位置に搭載することで、重量バランスが良くなって安定性が高まったのも評価できる部分だ。フリードハイブリッドは動力性能と乗り心地/安定性の両方で走りの質感が向上したといえる。

ハイブリッド車の価格はガソリン車に比べるとざっと30万円ほど高い。燃費が良くなるにしてもこの価格差は燃料代の差で取り戻せるものではない。でも、内外装の違いや走りの違い、さらにはエコカー減税で取り戻せる部分もあるので、納得できる価格差だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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