【クラウドフォース12】モバイル・ソーシャル・クラウドが変えた起業環境[後編]

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米国セールスフォース・ドットコムからジョン・ソマージェイ氏
米国セールスフォース・ドットコムからジョン・ソマージェイ氏 全 11 枚 拡大写真

クラウドフォース 2012でおこなわれた「クラウドで起業 ! 日本におけるセールスフォース・ドットコムの投資プログラム」と題したパネルディスカッションの後編をお届けする。

参加者は、司会に『WIRED』日本語版編集長の若林恵氏、パネリストとしてグロービス・キャピタル・パートナーズの仮屋薗聡一氏、米国セールスフォース・ドットコムからジョン・ソマージェイ氏、チームスピリット代表取締役荻島浩司氏、ホットリンク代表取締役CEO内山幸樹氏の計5名。

◆toB分野に機会を見いだす

司会の若林氏は「成功しているITベンチャーというと、ソーシャルゲームとかアプリとかのコンシューマー向けのサービスを手がける会社という印象があるが、toB向けビジネスについてはどう考えるか」と、グロービスの仮屋薗氏に話を向けた。

仮屋薗氏は、「従来、toB向けのビジネスはセールスチャネルの開発が難しかったが、クラウドの普及は新規参入企業にもチャネルのパスを通してくれた。また、(toBビジネスは)お客様の業務を理解できる知見・経験がないとサービスを提供できない。裏を返すと、自信があって経験があり、ビジョンを持っていれば勝つべくして勝てる。BtoBが事業機会としていいなと思っているのは、この点」と述べ、確固たるバックボーンがあれば計算可能性がtoBサービス企業にはあると語る。

チームスピリットの荻島氏も「昔は、大企業でなければ、あるいは上場していなければ付き合えなかった顧客だった。それが今では「クラウドなら」というところでビジネスできるようになった」と述べる。

ソマージェイ氏は「B2CとB2Bの融合」を指摘。「いわゆるインターネットのコンシューマー化の流れで、ユーザーインターフェース(UI)や新技術の使いかたはもともとはコンシューマー向けサービスが先行していたが、UIも技術も今や同じスピードでtoBの世界に入っている」と説明。セールスフォースのようなtoB向けサービスでも例外ではないという。

◆日本人の得意分野を活かす

先に仮屋薗氏に述べた「確実に勝てるベンチャー」発言を受けて、若林氏は、「誰が見てもびっくりするアイディアを出すのは得意じゃないかもしれないが、サービスの精度を高めるというのは日本人の得意とする部分なのでは」とパネリストらに問うと、セールスフォースのソマージェイ氏も、ホットリンクが提供しているソーシャルデータマイニングの例を挙げ、「日本はビジネスの効率が良い。多くの資本を使わずにここまでまで来ている」と評価。

仮屋薗氏も「日本人は、KPIを次々と定めて突き詰め、スピーディにPDCAを回していくという能力は世界でもトップクラスに入る。トヨタのカイゼンとかも日本人の特性が良い形で現れた例」と述べるが、一方で「一気にグローバルへ展開していく人材とパワーは(VCなどの)サポートが必要」とも。

◆起業家の必要十分条件

最後に、起業家としてミッションについて話が及ぶと、「ビジョンやミッションは日本では軽く考えられすぎている。それが人を吸引するマグネットになる。実績も資金も不足している企業で、成功の鍵になるのは経営者の思い。個人の自己実現とか資産実現ではないものに惹かれて、スーパーエンジニアがなぜベンチャーに来るのか。(ビジョナリであることは)起業家の必要十分条件だと思う」と仮屋園氏。

ホットリンクの内山氏は、起業家として「言ってみれば内なる“わくわく感”が大事。その欲が大きくなって、ミッションのような高尚なモノに必然的になる」と述べると、ソマージェイ氏は「われわれの場合はビジネスITで世の中に成長に貢献するのがミッション。考えを同じくする起業家とコラボレーションを通じてサポートしていきたい」と語り、ディスカッションを締めくくった。

本稿では詳しくは書けなかったが、ホットリンクの内山氏が受託から自社サービスへの切り替えを決断するまでの経緯を語るなど、さまざまな葛藤や決断を経ながら世界の市場へ打って出る起業家の信念を聞くことができた。

《北島友和》

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