【日産 シルフィ 試乗】乗り心地やパッケージングはまずまず、燃費性能はもう一歩…松下宏

試乗記 国産車
【日産 シルフィ 試乗】乗り心地やパッケージングはまずまず、燃費性能はもう一歩…松下宏
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『ブルーバードシルフィ』がフルモデルチェンジで『シルフィ』になった。登場した新型車のことより「ブルーバード」の名前が消えたことの方が大きな話題になったが、これも時代の流れである。

【画像全14枚】

新しいシルフィも日産を代表するミドルセダンという位置づけは変わらない。ただ、2012年4月の北京ショーで発表されたのに、日本に導入されたのは12月ということが象徴するように、日本市場よりも海外市場を意識して開発されている。

日本の市場が縮小し、世界の市場が伸びていく中で、各自動車メーカーにとって日本の位置づけが低下していくのはやむを得ないが、日本に由来する自動車メーカーには、日本市場を重視したクルマ作りを望みたい。

従来のモデルまでは日本の5ナンバー規格に収まるサイズだったのに、今回のモデルは全幅が1760mmに達する3ナンバー車になったのは、世界市場での販売を考えてのことだ。

全高は1495mmでやや抑え気味の設定。これまでのモデルに比べるとワイド&ローの均整の取れたプロポーションになった。不必要なボディの拡大には反対だが、クルマとしてのバランスを考えたらシルフィくらいの大きさや縦横比がちょうど良いのだと思う。

外観デザインは端正な4ドアセダンのイメージだ。横から見ると大きなキャビンがセダンとしての居住性の良さを想像させる。全体にすっきりした感じでセダンらしいデザインといえる。

内装は広がり感を演出したインパネや明るく見やすいファイン・ビジョン・メーターや木目調パネルよって質感が表現されている。ソフトパッドの採用も含めてかなり良くできている。どうせなら木目調パネルをもっと広範囲に使って連続感のあるものにしたら良かった。

パーキングブレーキレバーが運手席から遠いセンターコンソールの左側に位置しているのは、左ハンドル仕様であることがひと目で分かる部分。日産は日本の自動車メーカーなのだから、日本向けの右ハンドル仕様をもっとしっかり作って欲しい。

セダンとしての基本性能は全体に良くできていた。室内は後席にもゆったりした広さが確保されていて居住性の高さは上々だし、シートリフターやチルト&テレスコピック・ステアリングによって最適の運転姿勢をとりやすい。運転席からの視界の広さも向上している。

またトランクもたっぷりの広さがあるほか、最小回転半径が5.2mで取り回しの良さも上々のレベルである。

搭載エンジンは直列4気筒1.8リッターの自然吸気DOHC。MR18DE型を改良したMRA8DE型を搭載する。単なる改良ではなくボア×ストロークを変更した新しいエンジンに近いくらいの大幅な改良が行われたエンジンであるため、型式名も変わったのだそうだ。

動力性能はほぼ従来のMR18DE型並み。96kW/174N・mのパワー&トルクは1.8リッターエンジンとしてまずまず平均的な実力である。シルフィの車両重量は1200kg台なので、ボディに見合った実力といっていい。

シルフィの長所は静粛性や乗り心地の良さにあり、そのことはほんの少しの距離を走っただけでも分かる。ミドルセダンではなくて、もう少し上のクラスのクルマを思わせるような静かさや乗り心地で、これまでのシルフィに比べると大きく進化している。

乗り心地だけでなく操縦安定性のレベルも高く、高速レーンチェンジでの収まりの良さというか、落ち着いた感じの挙動も好感の持てるものだった。静粛性や操縦安定性からは走りの質感の高さが感じられた。

やや物足りなさを感じたのはCVTのフィール。副変速機付きCVTは決して悪いものではないが、アクセルワークに対するレスポンスがダイレクト感に欠ける。副変速機付きCVTには軽自動車やコンパクトカーのCVTというイメージがあるのも難点だ。

燃費などの面から考えると、今やコンパクトカーからミドルセダンまではCVTが常識なのだが、残念なことにシルフィはCVT車でありながらの燃費がリッター15.6kmにとどまっている。

この燃費だとシルフィの車両重量ではエコカー減税の対象にならない。今どきのクルマでエコカー減税が適用されないのでは話にならない。アイドリングストップ機構を装着するなど、もうひと頑張りが必要だ。

試乗車は最上級グレードのGだったので快適装備の充実度も高かった。左右温度調節式のフルオートエアコンや本革巻きステアリングホイール、キセノンヘッドランプ&オートライトなどが標準。安全装備もSRSサイド&カーテンエアバッグが標準だった。

1.8リッター車で230万円台という価格はさすがに高めの印象がある。快適装備などの面でそれなりの満足度があるものの、価格についてももうひと頑張りが欲しいところだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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