【ランドローバー レンジローバー 試乗】まるで魔法の絨毯…金子浩久

試乗記 輸入車
レンジローバー
レンジローバー 全 5 枚 拡大写真

2012年、モロッコでデビュー直後の『レンジローバー』を運転し、その超絶的なまでのオフロードでの走破性とオンロードでの快適性の高さに舌を巻かされたが、日本仕様でも変わるところがなかった。

【画像全5枚】

今度のレンジローバーの大きな技術的ハイライトはふたつある。ひとつはアルミモノコックボディ採用による大幅な軽量化だ。最新のV6ターボディーゼル搭載モデルでは最大で420kgも軽量化されている。モロッコではその数値の大きさに驚かされたが、旧型となる最も重いディーゼルエンジンを最新のものとを較べたので420kgなどという数値が導き出されたのだが、日本仕様の自然吸気ガソリンエンジン搭載モデルで比較すると190kgの軽量化となる。高性能版のスーパーチャージャー付きエンジンでは110kgの軽量化が実現された。

軽量化はオンロードでは加速と快適性に恩恵をもたらす。510馬力のスーパーチャージャー付きモデルの0-100km/h加速は5.1秒。375馬力の自然吸気モデルだって6.8秒だから速い。

アルミモノコックボディの剛性は高く、静かで乗り心地も快適だから、あまりスピードを感じさせない。これなら、長距離を走っても疲れがとても少ないだろう。ターボのパフォーマンスは万能だが、自然吸気のスムーズで静かな回転感覚も好ましい。スピードを出していなくても、どの速度域でもあらゆる走行感覚が滑らかで繊細だ。

軽量化の真骨頂はむしろオフロードにあることをモロッコでは様々な局面で教えられた。立ったままでは歩いて登れないような岩が続く急斜面を軽々と登り切り、膝まで潜ってしまう砂丘も易々と走り抜けた。過酷なオフロードでこそ、軽量化の恩恵はとても大きなものだった。

シャシーエンジニアリングマネージャーのロイド・ジョーンズに、試乗の前の晩に力説された。

「軽量化は省燃費のためでもあるが、オンとオフロードでのドライビングダイナミクスの革新でもある。そこを感じ取って欲しい」

もうひとつの技術的改良は、ランドローバー全車に装備されている走行モードシステム「テレインレスポンスシステム」のバージョンアップだ。新たにオートモードが加わり、通常はそれで走ればいい。同システムは、「オンロード」「草地/砂利/雪」「泥地/轍」「砂地」「岩場」と5つの走行モードが用意され、これまではドライバーが選択しなければならなかった。しかし、新たに加わったオートモードはタイヤのグリップ具合を1秒間に100回の速さで瞬間的に繰り返し、最適なモードを自動的に選んでくれる。

オートモードはオンロードモードの範囲を拡げたものだと解釈できるだろう。なぜならば、本当に過酷な砂地や岩場を走る時にはいったん停車して、ボタンを押して車高を上げ、状況によってはさらに副変速機のローレンジモードを組み合わせなければ走破できないことがあるからだ。

そうした状況では、フルカラーで粒子が細かくなり、情報量も増えたTFT画面を用いたメーターパネルスクリーン中央に、シャシーとサスペンションとアクスルの状況がイラスト化されて表示される。岩場を越えている最中は、前後アクスルと仮想された軸がどれだけネジれ、4つのサスペンションがどれだけ縮んでいるかもリアルタイムで把握することができるのだ。とても助けになる表示だ。

スタックしそうになるほどのさらに過酷な岩場や砂地などでは、スクリーン上のセンターデフとリアデフのロック量までも表示され、これも大いに運転の助けとなった。ガジェットではない。

インテリアの趣味と品質は変わらない。二つ前の2代目まではヴィクトリア朝のオールドワールドなセンスだったが、3代目に一気にモダナイズされ、この4代目も一層の磨きが掛けられている。

エクステリアでも、左右両端が盛り上がっているボンネットフード、フロントドア縁のエアアウトレット、ウインドウガラスでカバーされ、後ろにエッジを少し付き出すかたちのDピラー、二分割して開閉できるガラスハッチとテールゲートなどの特徴的な造形はすべてモダナイズされて織り込まれている。初めて見る小さなテールライトユニットと絞り込まれたテールがエレガントだ。

陸地が続く限り世界の果てまで走っていけるというのがレンジローバーのコンセプトだったが、新型はそれを数段快適かつ簡単に行えるようになった。魔法の絨毯のようなクルマだ。

パッケージング:★★★★★
インテリア・居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1~4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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