日立、サイズ従来比約2/3の鉄道車両用3kV/1200Aパワーモジュールを開発

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日立、鉄道車両用3.3kV/1200Aパワーモジュールを開発
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日立製作所は、従来の約3分の2のサイズに小型化した1500V架線用の鉄道車両用3.3kV(キロボルト)/1200A(アンペア)パワーモジュールの開発に成功した。

今回開発したパワーモジュールには、現在主流のSi(シリコン)を用いており、主に架線から供給される直流電圧をモーター駆用の交流電圧に変換するインバーターに搭載されるもの。この新技術は、パワーモジュールの小型化、小型化により発生する温度上昇を防ぎ、鉄道車両用インバーターへ実装できる。これにより、鉄道車両用インバーターの小型化や軽量化、省エネ化に貢献する。

同社は、1992年に世界で初めてSi-IGBTモジュールを適用した鉄道車両用インバーターの実用化に成功して以来、IGBTモジュールの低損失化と高信頼化の技術開発に取り組んできた。Si-IGBTモジュールには、750V架線用の1.7kVと1500V用の3.3kVの2種類のモジュールがある。より高電圧での動作が必要な3.3kVのモジュールには、一般的に140mm×190mm規格が採用されており、インバーターの軽量化に向けて小型化ニーズが高まっている。

同社では今回、3.3kVモジュールを従来比約3分の2へ小型化を実現するとともに、小型化により発生する温度上昇に対応し、インバーターへの実装を実現するための技術を開発した。

パワーモジュールの小型化のためには、チップの電流密度を高める必要があるが、今回、IGBTチップをトレンチゲート構造とすることによって電流密度を向上、セルサイズを約3分の2に縮小した。また、構造変更により、従来に比べ損失を20%低減できることを確認した。

また、パワーモジュールの小型化のため、チップあたりの電流密度を高めると、温度が上昇する。そこで、チップへの熱集中を防ぐため、高熱伝導絶縁基板を使った。シミュレーションにより最適なチップ配置とし、接合材にはスズ銀系ハンダを、端子の接続部には超音波による金属接合方式を採用することで、開発品の熱抵抗を20%低減することに成功した。

今回開発したモジュールに用いた素材は、RoHS指令へ対応している。

今回開発した技術は、5月14日にドイツで開催される「PCIM ヨーロッパ2013」と5月27日に日本で開催される「ISPSD 2013」で発表する予定。

《レスポンス編集部》

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