【インタビュー】VWジャパン庄司社長、新型ゴルフ採用のMQBは「高級車用部品の民主化」

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フォルクスワーゲングループジャパン 庄司茂社長
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フォルクスワーゲングループジャパンの庄司茂社長は、6月25日の新型『ゴルフ』発売を前にグループインタビューに応じ、300万円を切る価格設定の背景や、新型車にかける期待などについて語った。

---:7代目ゴルフは大きく生まれ変わりましたが、主要ターゲット層も変化しますか。

庄司社長(以下敬称略):車は全然違って、新種の車ですが、ターゲット層は従来と変わらないと思います。ただ現状では男性比率が7割なので、もっと女性に乗って頂きたい。なぜなら乗ってて安心な車だから。こんな安心な車はなかなか無いので、是非女性に乗って欲しいですね。

---:円安局面にも関わらず前モデルより安い価格設定ができた背景は。

庄司:輸入車の価格設定は本当に難しい時期に来ていまして、他社も思い切った価格設定をされていますが、低くすれば多く売れるというわけでもない、ということです。その辺の微妙な舵取りが一番大事なところになってきています。

このため特に前のモデルからいくら下げようか、ということを我々は大きく意識していませんでした。どちらかというと、反応の良い価格。その価格帯にぶつけることができるか、こういう考え方からやってます。「ハイライン」の300万円を切った価格設定というのはまさしくそれです。

---:新モジュール戦略「MQB」は値下げに貢献していますか。

庄司:そこは微妙なところ。実は我々もインポーターとして本社と価格交渉をしています。もちろん彼らの財布をみながらということはできませんが、実際にMQBによって戦略的な価格が実現したのかという質問にイエス、ノーで答えるとしたらイエスですね。

ただMQBの共有部分は高級車と同じものを使おうとしますから、コンパクトカーであっても同じレベルのものを使います。高級車にコンパクトカークラスのものを使うわけにはいかないのです。高級車で使っているものを共有化する考え方。それをコストダウンと呼ぶとすれば確かにコストダウンです。が、共有化することによって高級車用の部品を民主化するようなイメージに近いですね。単なるコストダウンという考え方ではないのです。

---:その一方で5月1日に『up!』や『ポロ』など既存14車種の価格を平均1.5%値上げしましたが、影響はありますか。

庄司:本音ベースでいうとほとんどなかったですね。普通は値上げ前に販売が上がって、その後、落ちるはずなんだけど、それすらなかったくらい。お客様はそのまま受け入れたのかなというところですね。

過去3年間値上げをしていなかったので、我々もそろそろ値上げをしたいなと思っていました。それとたまたま円安が合致してしまった。この急ピッチの為替の動きを織り込むことはまずないですね。そうしないと新型ゴルフのハイライン299万円の価格設定と矛盾してしまいます。

---:新型ゴルフの競合車種は。

庄司:我々はメルセデスベンツ『Aクラス』とあたりそうかなと思っているんですが、販売店からそういた声は聞かれないですね。その辺はBMW派、メルセデス派、VW派というのがはっきり分かれているようです。どちらかというと『プリウス』の方が(競合していると)よく聞きますね。また価格帯があってくるのかスバル『レガシィ』という話も聞きます。

---:新型ゴルフの日本での販売規模をどうみていますか。

庄司:ゴルフの日本での過去最大の販売台数は3万8000台弱なのです。これは超えたいですね。去年あたりの販売台数でいったら、3万8000台なんて全然見えないです。真下からスカイツリーをみるくらいに見えないです。

大きな数字ですがチャレンジします。VWグループで2018年の長期計画をもっていますから、その間には実現できるようにしたい。7代目ゴルフは十分頑張れる素材だと思っています。

《小松哲也》

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