【スズキ スペーシア 試乗】殺風景なくらいの広さと想像以上の安定性…松下宏

試乗記 国産車
スズキ スペーシア
スズキ スペーシア 全 25 枚 拡大写真

『パレット』改め『スペーシア』が登場した。パレットの基本コンセプトを継承しながら更に徹底させ、ホイールベースを延長してクラス最大級の室内空間を作ったほか、軽量化技術を積み上げて90kgもの大幅な軽量化を達成した。

またエネチャージに代表されるスズキのグリーンテクノロジーを採用し、リッター29.0km(ターボ車は26.0km)というクラストップの低燃費を達成した。

外観は室内の広さを想像させ、親しみやすさを感じさせるものの、余りにも平凡なデザインだ。万人受けをねらうとこうしたデザインになりがちだが、平凡なデザインは大外れはないかもしれないが、大ヒット車にもならない。

前席の座面は適度な高さに設定されていて、自然な姿勢で乗り降りできる。運転席に座ると、大きなフロントウインドーによって上下左右に開けた視界が広がる。フロントピラーの部分に三角窓ならぬ平行四辺形窓が設けられ、死角を減らしている。

後席は床面の低さに加え、スライドドアの開口部の広さもあって、老人や子供にも乗り降りしやすい設計だ。後席に座ると殺風景なくらいに広い足元空間が広がっている。正にクラス最大級の広さである。

走り出しはとてもスムーズ。自然吸気エンジンの搭載車でもすーっと走り出していく感じで、もたつくような感じはない。これは大幅な軽量化が貢献しているのだろう。

アクセルを踏み込むと副変速機付きのCVTによって滑らかに加速に乗っていく。加速時の騒音はちょっと大きめ。軽さを徹底追求したスペーシアの騒音が大きめになるのはやむを得ない部分がある。軽さによる走りと燃費の向上も大きな価値だからだ。

ターボ車は動力性能に余裕があり、エンジンの回転数を高めなくても走れる範囲が広いので、その分だけ騒音レベルは低くなる印象。といっても特に静かなクルマということでもない。

エンジンはエネチャージを採用することで、時速13km以下からのアイドリングストップに入りやすくなっている。更に夏場にはエコクールによって停止時間が延長される。

アイドリングストップから再始動するときの振動や騒音はそれなりのレベル。これももっと静かでスムーズになった方が良いが、まずはエンジンが停止しやすいことが大切だ。

背の高いボディの割に意外にしっかりしていたのが操縦安定性。低い床面によって低重心を実現したことが、走りの安定感を生んでいる。試乗したXとTは、いずれも14インチタイヤ+フロントスタビライザーを装着したモデルだった。そのことが走りの安定感に貢献した部分があるだろう。

安全装備の横滑り防止装置(ESP)が、オプション設定すらされていないのは何とも物足りない。今や軽自動車にも横滑り防止装置どころか衝突回避・軽減ブレーキまで装備される時代である。早期対応が望まれる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  3. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  4. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  5. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  6. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  7. アルファロメオ『ステルヴィオ』後継モデルは、大容量バッテリー搭載で航続700km実現か
  8. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  9. ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
  10. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
ランキングをもっと見る