JAXA、『だいち』衛星画像による全世界デジタル3D地図を今後2年で整備…世界最高精度

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カラー処理を施したエベレストの3D 地図
カラー処理を施したエベレストの3D 地図 全 8 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月24日、光学地球観測衛星『だいち(ALOS)』が撮影した約300万枚の衛星画像を活用した世界最高精度の全世界デジタル3D地図を2014年4月から2016年3月までに整備すると発表した。

陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)」は、NECが開発・製造を担当しJAXAが2006年に打ち上げ、2011年5月まで運用。3組の光学センサーを組み合わせ、前方・直下・後方の3方向から地表を観測できる「パンクロマチック立体視センサ(PRISM)」を搭載し、解像度2.5メートルの地形データを高頻度で取得した。

今回、株式会社NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の共同により、「だいち」画像を元に水平方向の解像度5メートル、高さ5メートルで世界の陸地の起伏を表現するデジタル3D地図を整備する。「だいち」運用期間中に撮影した約650万枚の画像のうち、PRISMが撮影した雲による地表の隠れが少ない約300万枚の画像を使用して「全世界デジタル3D地図提供サービス」を開始する。準備済みの地域から順次データを提供し、今後2年で全世界3D地図を完成、提供する予定だ。

これまでの3D地図には、2000年にスペースシャトル搭載の合成開口レーダーが観測した解像度90メートルの地図などがある。今回、解像度が5メートルとはるかに高解像度の地図が整備されることになる。提供する地図の形式は、全世界の陸地の「高さを示す数値標高モデル(Digital Elevation Model, DEM)」「水平位置を示す正射投影(オルソ補正)画像」の2 種類。正射投影画像をカラー処理して提供することも可能で、カラ―正射投影画像とDEM を組み合わせることでカラ―の3D地図となる。価格は1平方キロメートルあたり200円から。

高精度3D地図の利用用途には、新興国での基板地図整備、農業灌漑用水の整備計画への利用、洪水や土砂災害の危険エリアの把握や無線通信の障害エリア把握などが見込まれている。2015年までに累積15億円の売り上げを目指すという。

JAXAでは、これまで「だいち」のデータを元に1ヵ月に100枚程度のデジタル3D地図を作成する技術実証を進めてきた。今回、全自動で画像を大量に処理できる技術により、1ヵ月に15万枚が作成できる見通しが立ったという。2014年4月から2016年3月まで、2年かけて全世界の3D地図を整備する。3D地図データは株式会社NTTデータが販売する。合わせて、解像度30メートル程度の低解像度の全世界標高データを整備し、こちらは無償で公開し広く一般に開放する予定だ。

《秋山 文野》

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