【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】社内で新規事業を成功させるための7つのポイント

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【SOCIAL MEDIA WEEK 東京】社内で新規事業を成功させるための7つのポイント
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2月18日、講談社で開催されたソーシャルメディアウィークにおいて、「BtoBtoCにおける新規事業の立ち上げ方とサービスグロースハック」と題された講演がおこなわれた。

社内で新規事業を立ち上げる。たとえば三菱商事の社内ベンチャーから始まった「Soup Stock Tokyo」のように、一企業内で新しい事業がうまれるケースがある。

このようなケースではどのようにすれば社内ベンチャーは成功するのか。そしておさえるべきポイントは何だろうか。

Facebookアプリの懸賞・モニターサービス「ポチカム」で著名な竹澤秀明氏(サイバー・バズ メディア本部マネージャー兼プロデューサー)が社内新規事業をうまく軌道に乗せるためのTIPSを提示した。

竹澤氏は「ポチカム」の他に「Ripre」「WEB-PR」などのサービス立ち上げに携わってきた。大学卒業後、ソーシャルメディアマーケティングの専門会社に入社。サイバー・バズにて新人賞、社内事業プランコンテストで同氏がつくったサービス「ジギョつく」が評価されアイデア賞を受賞するなど、まさにこの業界の第一人者といえる存在だ。

以下、特に会社の中で新規事業を立ち上げる気をつけるべき7つのポイント、サービスをアクティブにしようとする際のフレームワーク、そして新規事業を成功させる人に求められる気質を紹介する。

新規事業をうまくやる7つのTIPS

新規事業をおこなうとき、頭にいれておくべき「7つのTIPS」があるという。

1つ目は「時間+予算+チーム=?」の式を考えること。「時間、予算、チーム(人)には当然制約がある。その中でできる最大限のことはないかを考えながらプロジェクトをまわしていくことが必要だ」(竹澤氏)。竹澤氏が新規事業をする上で意識していることとして、「“ここは越えない”という線がある」という。事業領域の全体感を決裁者に見せることが重要だ。

2つ目はストーリーを意識するということ。聞いた人が、「なにそれオモシロイね」とつい言っちゃうような興奮が必要だ。例えば「wantedly」というサービスはフリーミアムモデルのB2B版だが、竹澤氏自身「実際に応募者がくるプロフィールを見たくてお金を出してしまう」のだという。

3つ目はすべてを把握するということ。立ち上げ始めの1、2年で重要なことは全体を俯瞰することだという。「営業が何を、どのようなセールストークによって売っているか、それによって刺さるクライアントはだれか。技術に関してはどういうやり方でつくっているのか。どうしたらコストを下げられるか、カスタマー側にはどのような問い合わせがきているか。俯瞰できていることでサービスのポジションを微修正を適切にできるようになる。」(竹澤氏)。

4つ目は出してからが勝負ということ。「出してみることで今まで気が付いていなかったバグやUXの欠陥に気付く。始めた段階では10%しかできてない」ものだという。その気づきの中で、ユーザーにインパクトのある修正を取捨選択し「削いでつくることが重要だ」(竹澤氏)。

5つ目はフェーズによってアクションを変えること。これは新規事業を立ち上げて2~3年たったときに重要なことだという。走り出して2、3年たつと、マネジメントの重要性が色濃くなる。このときメディアの場合「チームのメンバーが気持よく働けること、またメンバーが“少し先と手前と足元”が明確にイメージできている状態にしてこくこと」が重要だという。

6つ目は、多数決で決めないこと。多数決を取る際、手を挙げる人が「働いている環境におけるエゴに影響されてしまう」(竹澤氏)。そのため事業軸に純粋になって選択するためには避けるべき手段だという。

そして、最後の7つめは「まずはやってみること」。やってみないと気付けないことがあることを竹澤氏の経験から語った。次にサービスグロースハックへ話題が移った。

◆何を変えればサービスがアクティブになるか AARRRモデルのすすめ

そもそもサービスグロースハックとは何か。「ハウツーではなく、サービスがグロースするためのアクションを実行することだ」(竹澤氏)。つまり街頭でのビラ配りでもグロースするならば立派なアクションに含まれる。有名なグロースハックにHotmailの例が挙げられる。Hotmailがメールのフッタ―につけたメッセージ。これによって半年で100万人の会員を獲得したケースがある。

このとき重要なのは、「いかに少ない時間でより成長できるか」。竹澤氏はこれを3つの問いに落とし込む。

1.そのサービスの何がキモなの?
2.ただ1つの混乱しない指標はつくれているか?
3.それにより現場の目線をそろえているか?

つまり真のKPIをつきとめることができているのか、を問うことが重要だという。
「サービスが急激にアクティブになるポイント」はどこか。例えばツイッターでは5から10人をフォローすること。Facebookは登録後10日以内に7名の友達と繋がること。Dropboxはファイルを一つ置くことだ。これによりサービスに所有意識が芽生えるのだという。

サービスが急激にアクティブになるポイントを考える際のフレームとして、AARRRモデルがある。これはユーザー行動の変化を大きく五つに分けた非常にシンプルな考え方だ。

・Acquisition(アクイジション)。サイトやストアに顧客を連れてくる段階。
・Activation(アクティベーション)。サインアップ等をしてもらい顧客になってもらう段階。
・Retention(リテンション)。繰り返し利用してもらう段階。継続的にプロダクトの価値をつたえるのでEngagementとも言う。
・Referral(リファレル)。満足した既存顧客にプロダクトやサービスについての共有や、友人等へ招待をしてもらう段階。
・Revenue(レベニュー)。優良顧客になってもらう段階。

この五つのうちどこを活性化しようとしているかを意識することが重要だという。

最後にグロースハックの成功事例にはどのようなものがあるかを紹介された。
ランディングページでの入力欄を3つから1つに減らすという単純な変更によって、23%もの登録率上昇がみられたケースがある。また、チュートリアルで、そのアプリのメインとなるアクションを最初に行うと、何をするアプリかを体感でき、アプリの使い方を理解してもらうのに非常に効果的なのだという。

またグロースハックを達成させる体制について言及した。グロースハックを達成するには個々の部署が個々の部分最適をしている状態では不十分。アンブレラ型の人材が必要だという。つまりすべての部門をまんべんなく理解しているグロースハッカーが、個々の部門にいる120%分かっている人と連携することが必要だ。全体最適はこのような体制のもとで達成されるという。

◆新規事業を成功させる人はどういう人か?

講演の終盤は、個人についての内容に。誰がサービスを成功させるか。新規事業を成功させる人にもとめられる気質とはなにか。これを測るヒントとして竹澤氏は「事業家度診断テスト」をあげた。あなたは以下の質問のいくつに当てはまるか。

・今の仕事を達成することに負けないほど、物事に改良を加えたいという望みを常に抱いているか?
・お風呂に入っているときに新しい仕事のアイデアについてあれこれ想いをめぐらせワクワクしてくるか?
・新しいアイデアを実現させる方法を考える際にどんな行動を起こすか具体的に思い浮かべることができるか?
・ときどき、権限を逸脱したことをしようとしてトラブルをおこしているか?
・仕事が失敗しそうという厳しい状況を、うまく乗り切ったことがあるか?
・あなたは、支持者と批判者の両方が人一倍多い方か?
・頼りにできる仕事上の人脈ネットワークを持っているか?
・他人があなたのアイデアの一部を実行しようとしてもたついているのをみるとすぐにイライラする方か?
・何でも自分でやらなければ気が済まないという気持ちを抑えて、チームのメンバーと一緒にあなたのアイデアを取組むように努力することが出来るか?
・もし成功した場合に相応の報酬が受けられるなら、あなたのアイデアを試してみるチャンスと引き換えに、多少の減俸も辞さない覚悟があるか?

6つ以上当てはまると事業者としての適性があるという。つまりまとめると、「昼夜問わず事業のことを考えないではいられず、すべての事象を事業に結び付けたがる人、また常に新しいものやより良くなるものに対してどん欲で、商売や仕組みづくりが好きな人、またそういった情報に敏感である人。加えて、猪突猛進で、様々な失敗やトラブルも乗り越え、ビジョンの実現を成し遂げようとする人を指す」(竹澤氏)。

抽象的な表現だが、具体的には誰のような人を指すのか。竹澤氏はローソンの新浪社長を例に上げた。新浪氏は三菱商事勤務時代に給食ビジネスをしたい旨をなんども提案したが頑なに断られたという。しかし、新浪氏はあきらめずついには海外の企業と提携、合弁会社を設立した後にローソン株を買収するという行動にふみきっている。

このように会社の権限を逸脱してでも自身の軸をブラさない姿勢を評価する。またローソン株を買収後、退路を断つべく三菱商事を辞めている。このような物事を判断する際の器の大きさが重要な要素だという。

以上が幾多の新規事業、新規サービスの立ち上げを経験してきた竹澤氏による、新規事業を立ち上げる上で重要な考え方だ。講演において同氏は一貫して、“とにかくやってみながら”修正していく姿勢の大切さを説いた。

《北原 梨津子》

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