マレーシア航空(MAS)の旅客機が8日未明にベトナム南方海上で消息を絶ってから、11日午後5時の段階で依然として行方はわかっていない。
残骸ひとつ見つかっておらず、安否を気遣う乗客の家族や関係各者も疲労の色を濃くしている。
マレーシア航空は10日、捜索範囲を大幅に拡大する方針を明らかにした。新たに範囲に含められたのはマレー半島北部とその西方のアンダマン海域。マレーシアのほか、10カ国が参加しての捜索活動が続けられている。
ベトナムの沖合で見つかった油膜について、マレーシア海事執行局(MMEA)は貨物船用の燃料油であり、ジェット燃料ではないと明らかにした。緊急脱出用ドアと見られた部分も違っていたことが判明した。マレーシア警察のカリド・アブ・バカル長官は、これまでの捜査でテロにつながる可能性は見当たらなかったとした上で、だからと言ってテロの可能性を完全には否定しないと述べた。
乗客名簿にあった男性2人が偽造旅券を使ったことが判明した件について、カリド長官はうちオーストリアの偽造旅券を使った男がイラン人の19歳の男性であったことを確認したと発表した。ドイツに移住するつもりだったと見られており、テロとは無関係とみられている。
一方、イタリアの旅券を使った男についてはいまだ身元はわかっていない。ウイグル分離独立派の関与したテロとの疑いも出ていたが、カリド長官は新疆ウイグル自治区出身ではないとしたものの、国籍は明らかにしなかった。偽造旅券を使った2人の航空券は「アリ」と名乗るイラン人男性がタイのパタヤにおいて購入していたことが判明している。
また旅客機が消息を絶ったほぼ同時刻、クランタン州の海岸部で空中の白い光や低空飛行する旅客機を見たとの目撃情報も出ているが、正式には確認されていない。