帝国データバンクは、2014年度の雇用動向に関する企業の意識調査を実施して結果をまとめた。
調査期間は2014年2月18日~28日。全国2万2862社を対象に調査し、有効回答企業数は1万0544社。雇用に関する調査は2005年2月以降、毎年実施しており、今回が10回目となる。
それによると2014年度(2014年4月~2015年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について聞いたところ、「採用予定がある」と回答した企業は1万0544社中、6275社で、全体の59.5%を占めた。2013年度調査の56.9%と比べると2.6ポイント増となり、小幅ではあるものの4年連続で改善した。
「採用予定はない」は30.6%と4年連続で減少した。2013年度で「採用予定はない」と回答した企業のうち、約3割が2014年度に正社員の採用予定ありへと転換した。
2013年度に「採用を増やす」と回答した企業のうち7割が2014年度も採用増加または維持するとしている。逆に、採用予定ありから採用予定なしへの転換は15%程度にとどまった。
2014年度の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について聞いたところ、「採用予定がある」と回答した企業は47.7%となり、2013年度から4.8ポイント増加した。リーマン・ショック後に非正社員を削減し、既存正社員の雇用確保を優先する傾向がみられたこともあり採用を予定している企業が最も少なかった2010年度の29.8%以降、4年連続で改善しており、非正社員を採用する企業は5割近くまで回復してきた。
特に「飲食店」や「各種商品小売」、「医薬品・日用雑貨品小売」などでは採用予定ありとする企業が8割を超えており、非正社員の人手が特に不足している業種で採用意欲が高い。
「採用予定はない」は39.3%で、2008年度の39.0%以来、6年ぶりに3割台まで減少した。非正社員の「採用予定はない」はピークだった2009年度の58.6%と比較して20ポイント近く低下している。
自社の属する地域・業界の雇用環境が改善する時期を予想してもらったところ、今後3年以内に雇用環境の改善が見込めると考える企業は3社に1社にとどまった。前回調査で3年以内に改善すると答えた41.6%を下回り、企業は今後の雇用環境については一転して厳しくなると予想していることが浮き彫りとなった。
また、「長期的に改善する見込みはない」も2割超となった。中でも「小規模企業」は24.6%と、「大企業」の15.9%を8.7ポイント上回っており、規模が小さいほど長期的にも雇用環境に改善を見込めていない。
更に、自社で主にどのような人材の活用に注力しているか聞いたところ、「若者」が最多となった。次いで中途採用や子育て後の復職など多様なルートで採用・登用されている「キャリア・スキル・経験の多様な人材」、「特定層に限定しない」、「女性」と続いた。
政府がどのような雇用規制の緩和を進めた方が良いと思うかを聞いたところ、「裁量労働制の見直し」が最も多かった。次いで「再就職支援金の導入」、「限定正社員の普及」、「解雇無効時の金銭解決」が2割超となった。