【GARMIN Edge810J インプレ後編】「難解」「面倒」「不便」というパワーメーターの常識を覆す VectorJ

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「VectorJ」は見るからに高級そうな箱に入っている。これまでのガーミン製品とは趣の異なるパッケージだ。
「VectorJ」は見るからに高級そうな箱に入っている。これまでのガーミン製品とは趣の異なるパッケージだ。 全 9 枚 拡大写真

GARMINの新型サイクルコンピューター「Edge810J」にパワーメーター新製品「Vector J」を組み合わせて使ってみた。

まずパワーメーターとは、自転車をこぐ人間の力、パワーをダイレクトに計測する計測器だ。非常に高価なので健康のためといったレベルで自転車に乗っている人にはあまり縁がないものだが、アマチュアであっても本格的にトレーニングをしたいならぜひとも使うべきアイテムといえる。

◆左右のパワー差を分析できる究極のオプション

パワーメーターには非常に多くの種類があり、取り付ける場所で分類するだけでも、クランク、ボトムブラケット、チェーン、ホイールのハブに取り付けるタイプがある。では「VectorJ」はどのタイプかというと、実はどれにも該当しない。ペダルに取り付けるという、新しいタイプのパワーメーターなのだ。ペダルは2個あるのでセンサーも2個必要であり、開発、製造の難易度は高くなる。その代わりに、ほかのパワーメーターでは絶対に不可能なことが可能になる。

それは、右足、左足のパワーをそれぞれ専用のセンサーで測定できるということだ。左右バランスや平均パワーなど、正確でより信頼性が高い様々なデータを測定することができ、効果的なトレーニングにつなげることができる。しかも、ペダル型のパワーセンサーは取り付けるのが非常に簡単。何しろ取り付けに必要な工具はペダルレンチだけだ。複数の自転車を持っていても走り出す前にさっと取り付けることができるし、旅行先でレンタサイクルに取り付けることもできる。これはボトムブラケットやクランクに組み込むパワーメーターでは絶対に真似のできないメリットだ。

その構造はというと、ひずみセンサーが組み込まれたペダルと、バッテリーと電子パーツを内蔵したペダルポッドに分かれており、ペダルポッドはクランクとペダルの間に挟む形で固定する。ペダルはビンディングタイプで、専用のクリートが付属している。当然ながら、使用するにはビンディングシューズが必要だ。

◆取り付けは至極簡単、対応機器も豊富

実際に使ってみた。とりつけは、最初こそ勝手がわからないので戸惑うが、一度やってしまえば非常に簡単だとわかる。コツも何もなく、普通のペダルを取り付ける作業と大差ない。取り付けができたらEdgeシリーズのサイコン、ここでは「Edge810J」とペアリングして校正をする。

校正も簡単で、クランク長を入力して、しばらく普通に走れば完了する。ちなみに、「VectorJ」の対応モデルは「Edge810J」、「Edge800J」、「Edge510J」、「Edge500J」、それに「ForeAthlete910XTJ」となっている。

◆パワーメーターの常識を根本的に変える画期的な製品

実際に自分のパワーを測定してみた。パワーにはもちろん個人差があるが、性別、年齢、心拍数から大体の平均値を算出できる。筆者のパワーはその値よりだいぶ下回っていたので、まだまだトレーニングが足りないようだ。もう一つの重要なデータであるパワーバランスを見ると、かなり極端に右足に偏っていて驚いた。これは非常に意外な結果で、自分としては、偏っているなら左だろうと思っていた。いわゆる利き足が左だからだ。自分の体でもデータを取ってみないとわからないものだ。

機能は他にトレーニングストレススコアの計測などがあり、また、「Edge810J」および「Edge510J」と組み合わせて使う場合のみ、今後のソフトウエアバージョンアップでトルク効率やペダルスムーズネスも測定できるようになるという。

パワーメーターは購入を検討しながら踏み切れない人が多いアイテムだ。その理由は高価だということもあるが、従来のパワーメーターは取り付けが面倒だったり、使用できるクランクやホイールが制限されるなど、不便な点も多いためだ。価格を除けばそういった不便な面をことごとく解決した「VectorJ」はパワーメーターの常識を根本的に変えてしまう可能性のある、画期的な製品といえる。

《山田正昭》

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