【マツダ アクセラハイブリッド 試乗】ワインディングに持ち出して初めて見えた真価…高根英幸

試乗記 国産車
アクセラ・ハイブリッド
アクセラ・ハイブリッド 全 4 枚 拡大写真

マツダ『アクセラハイブリッド』を横浜で試乗した時には、いい面ばかりを感じ取れたわけではなかった。撮影も含めて1時間前後の取材では、試乗時間が短いと言うより、試乗会の拠点からそれほど移動することができないから、どうしても試乗する道路環境が限られてしまう。

今回ハイブリッドも環境を変えて試乗させてもらうことで、以前とは別の魅力を伝えてきたことを報告させていただきたい。走ったのは高速道路など平坦路を主としたステージだが、従来のCセグハイブリッド車とは明らかに異なる、走りの質感を伝えてくれたのである。

アクセルの踏み込み量に対して、自然な加速感を伝えてくる。加速レーンが十分にあるところでは、クラッチが滑っているようなCVT独特の間延び感は少なかった。以前、首都圏で試乗をした際には街中で低速域の加減速を繰り返したり、都市高速の短い加速レーンでの加速など忙しないシーンでは、どうしても加速の間延び感を感じさせたが、今回は4人乗車でも加速感がより自然に感じた。

それに高速クルージングのフラットなライド感がいい。他のハイブリッド車では燃費を重視しすぎるあまり、高速道路とはいっても完全にフラットではない路面の凹凸を吸収しきれないため、空走感はあってもピッチングなどライド感を損なうこともあった。

重量があるのでアクセラの中では比較的ゆったりした動きだから、高速クルージングが本当に快適だ。だが走っていると、ギャップを通過する時にブルブルとゴム系に起因する、周波数の低い振動を感じる。これはアッパーマウントもしくはロアアームのブッシュかと思っていたら、マツダ車両開発推進部の森内氏が原因を教えてくれた。

それはエコタイヤ。転がり抵抗を抑えたエコタイヤはトレッド表面の変形量が少なく、サイドウォールは柔らかいので、剛性が不足気味なのだ。実燃費でどこまで違いが出るのか分からないが、個人的には少々燃費が削られようとスポーツラジアルを履かせたくなるハイブリッドだと思う。それくらい惜しいと思う部分が少なく、走りが上質で楽しめる。アクセラらしいハンドリング性能の高さは先日、首都高速で実感済みだ。

燃費性能だけで言えば、並み居るハイブリッド車の中でアクセラハイブリッドを選ぶのは、ベストな選択ではないかもしれない。けれども、最高に燃費性能がいいハイブリッド車とアクセラハイブリッドで月々のガソリン代の差額は、いかほどにもならないはずだ。1ヶ月のガソリン代にして千円ほどの差額を節約しますか? それとも走りも楽しめるハイブリッドを選びますか? というのがマツダの回答じゃないだろうか。

もっとも、走りが楽しくなった分、乗り回してしまって走行距離が伸びてしまったとすれば、月々のガソリン代は少々増えてしまうかもしれない。しかし、それは確実にそのクルマのオーナーの生活に潤いを与えることに役立っているハズである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

高根英幸/自動車&工業技術評論家(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
芝浦工大機械工学部卒。トヨタ直営ディーラーの営業、輸入車専門誌の編集者を経てフリーの自動車ライターに。クルマのメカニズムすべてに興味をもち、旧車からハイテクまで納得いくまで解析。ドライビングだけでなくメンテナンスやモディファイも自ら積極的に楽しむ。著書に「クルマのハイテク」(ソフトバンク・クリエイティブ刊)

《高根英幸》

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