【セイワ PIXYDA PNM70S2/PXN100S2 インプレ】低価格PNDでもここまでできる、カーナビ専用機のメリット実感

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PNM70S2。見た目はPXN100S2と全く変わらない
PNM70S2。見た目はPXN100S2と全く変わらない 全 29 枚 拡大写真

PNDといえばかつては大ヒットした商品だが、最近ではスマートフォンに押されて人気がないと思っている人が多いだろう。たしかに以前ほどの勢いはないが、PNDは今でも根強い需要のある人気商品だ。

多機能化と低価格化が進んだことで、スマートフォンのカーナビアプリに対しても十分な競争力がある。今回取り上げた「PIXYDA(ピクシーダ)」の最新モデルを使ってみて、それを再認識させられた。

◆3年間地図無料更新も…

今回紹介するPIXYDAは、カー用品を幅広く手がけるセイワが展開するPNDブランドだ。セイワはシガーライターに差し込むスマホ充電器など各種のアクセサリ、ドリンクホルダ、芳香剤などをラインアップしている。そのセイワがPIXIDAブランドでPNDに参入したのが2011年のこと。低価格ながら大画面とフルセグという特徴を出して、高い評価を得た。

今回取り上げるのは最新モデルの『PNM70S2』『PXN100S2』。アウトラインをざっと紹介すると、7インチのタッチディスプレイを搭載した大画面のPNDで、地図はゼンリンの8GBマップを採用し、別に「るるぶデータ」によるガイドブック170冊分の情報も収録する。『るるぶ』の観光ガイドデータ収録件数は従来モデルが3万6000件だったが、今回のPNM70S2/PXN100S2で5万8800件に大幅増。ワンセグ受信及び録画機能、音楽、動画再生機能を持ち、本体背面にステレオスピーカーを装備している。また、AV入力端子、バックカメラ端子、ヘッドホン端子など、インターフェースも豊富だ。

さらに、ナビ画面とワンセグ受信画面や音楽再生画面を同時に表示できる機能や、オービス及び取り締まり警告機能なども搭載。準天頂衛星の「みちびき」による位置補正信号も受信できるので、カーナビの基本たる自車位置精度にも妥協はない。そして極めつけとして、PNM70S2は3年間で2回の地図更新が無料でできる。PXN100S2は地図更新の権利がないモデルで、それ以外は両モデルの機能、仕様は全く同一だ。

両モデルはオープン価格となっているが、上級モデルのPNM70S2でも3万円前後での販売となる。この価格でこれだけの機能を搭載し、地図の無料更新まで対応していることには素直に驚いた。ちょっと前ならハイエンドのPNDでも、さらにいえばインダッシュの10万円以上のナビでもできなかった機能が1つや2つではなく、多数搭載されているのだ。

◆大画面を支えるクレードルはやや大きめ

ここからは実際に使用しながら各機能や使い心地を紹介していこう。まず取り付けだが、クレードルはゲル状の吸盤を使用したタイプ。ゲルは十分に柔らかく、かなり深いシボのダッシュボードでも取り付けできる。ただ、PND本体が大きいためか、クレードルもかなり大きく、当然ながら吸盤も大きい。そのためダッシュボードの曲面の影響を受けやすく、小ぶりのクレードルなら取り付けられるのに本機のクレードルは取り付けられないといったことがある。

最近はシンプルなクレードルが多くなったが、このクレードルはかなりものものしい雰囲気だ。しかし機能的にはよく出来ていて、特に最近は少なくなったスライド機能があるのがありがたい。PND本体を非常に低くセッティングできるので視界のじゃまにならない。また、PND本体の脱着方法もよく考えられており、無理なく片手で脱着できる。

電源ケーブルはクレードルを介さず、本体に直接接続するタイプ。したがって脱着はやや手間がかかるが、本機は最近のPNDの動向に習ってバッテリーを内蔵していない。脱着するのは別の車両への乗せ換え時などに限られるので、脱着が面倒でも大きな問題とはならないだろう。シガーライターに差し込む電源ケーブルは12V、24V両対応となっている。

本体は7インチモデルである上にベゼル、つまり画面の外側の枠も最近のモデルとしては太めなので、かなり大ぶりに感じる。しかしスイッチ類をすべて見えない部分に配置してシンプルなデザインとすることで、いい意味で存在感がなく、車内の雰囲気に溶け込んでくれる。

◆ナビ機能は標準的、くせのあるUIに慣れれば十分快適

早速電源を入れてみると、メインメニューが起動。ナビとして使うにはここでボタンをタップしなければならないが、設定で電源投入時にナビが自動起動する機能を選択できるようになっていた。この設定でナビを選んでおけば、一般的なカーナビと同じようにすぐ地図画面が表示される。

続いて目的地検索をしてみた。検索データ自体は定評のあるゼンリンのものなので、探しているお店が見つからないといったことはない。この地図データは2014年春版という最新版なので、比較的に新しいお店や施設も検索できる。

続いてルート検索。有料優先、一般優先などのルート設定は、検索から目的地設定の一連の流れで選ぶことはできないが、一旦ガイドを開始させてから「ルート」ボタンをタップすることで、複数ルートの選択機能を使える。この機能は非常に良くできており、ルート全体を確認しながら「おすすめ」「有料優先」「一般優先」「距離優先」を瞬時に切り替えられる。

ガイド機能については、ごく一般的、かつ、全く問題のないものだった。ゼンリンの地図は見やすく分かりやすいし、交差点の拡大、ジャンクションなどのイラスト表示、レーン情報などいずれも適切なものだ。繰り返しになるが、地図データが2014年春版と新しいので、できたばかりの道路もちゃんと地図に反映されているのは嬉しい。また、設定で地図に表示される文字の大きさを3段階に変更できるようになっており、これも非常にありがたい機能だった。

◆スマホをいちいち固定するよりPNDと思わせる

筆者はここ数年、スマートフォンのナビアプリを愛用している。使い心地もよく、全く問題無いと思っていたが、今回久しぶりにPNDを使ってみてちょっと認識が変わってしまった。PNDを使ったあとにスマホに戻ると、いちいちスマホをポケットから取り出してクレードルに固定し、ナビアプリを起動させるのが非常に面倒に思えてくるのだ。また、画面が非常に小さく、情報を読み取りにくいと感じるようになってしまった。要するに、大画面の見やすいPNDをつけっぱなしにしておくほうがずっと快適だと気づいてしまったのだ。

スマホのナビアプリは定期的に料金を支払うものが多く、年額で3000~5000円くらいが多い。仮に5000円のアプリを3年使えば1万5000円になる。それでも本機のようなPNDを3年使うよりは安いのだが、その便利さと差額を天秤にかければ、スマホを愛用している筆者でさえ、PND購入は十分に「アリ」だと思う。

かつては、最新の地図を使えることがナビアプリの揺ぎないアドバンテージだったが、PNDの3年間地図更新無料により、そのアドバンテージも小さなものになった。最近ではGoogleマップのように無料でナビができるアプリもあるが、そういったアプリと本機のようなPNDを組み合わせて使うのがひとつのやり方かもしれない。愛車ではPNDを使い、レンタカーや徒歩、あるいはセカンドカーではスマホの無料ナビアプリを使うという方法だ。

◆機能が満載、オービス情報や2画面機能は使える

カーナビとして必要十分な機能を持つ本機の魅力は、付加的な便利機能が充実していることだ。ナビ関連の機能では、最初からオービス情報、全国取り締まり案内が収録されているのが嬉しい。オービスの警告は画面表示、音声ともに適切なもので、見落とすことがない。取り締まり案内は、過去のデータを元に、取り締まりの行われる可能性の高いポイントが収録されている。これも非常に有用だ。

AV関連の機能が充実していることも本機の大きな特徴となる。ワンセグの受信、オーディオファイル、動画ファイル、画像ファイルの再生が可能だ。ちなみに、本機の先代モデルではFMトランスミッターを内蔵して音声をカーオーディオで聞けるようになっていたが、本機では廃止され、本体内のステレオスピーカーで音声を聞く仕様に変更された。

もちろん本機のステレオスピーカーはごく小さなもので、カーオーディオの音質とは比べるべくもない。しかし、見た目から想像するよりもはるかにまともなサウンドを聞かせてくれるのも事実だ。FMトランスミッターもいいが、本機だけで完結するこの方法もシンプルで悪くないといえるだろう。

AV関連の機能で特筆すべきなのが、2画面表示機能だ。画面を2分割し、左にナビ画面、右にワンセグ、もしくはオーディオプレーヤーを表示できる。これは非常に便利で、特に家族でのドライブなどでは活躍するだろう。ナビ画面が半分になるといっても、一般的なスマホよりも表示面積は大きい。見やすさに問題はないといえる。

オーディオファイルや動画ファイルはSDカードに保存し、背面のストットに挿して読み込ませる。フォルダ名などに特に決まりはなく、都合のいいようにフォルダを作ってファイルをコピーしておけばいい。対応するファイル形式はオーディオがMP3とWAV、動画がAVI(MPEG4+MP3)、MP4、MPGとなっている。

◆多彩なインターフェースでバックカメラやDVDプレーヤーも接続可能

入出力端子が豊富であることも本機の特徴で、PNDでありながら独立したバックカメラ入力とAV入力を搭載している。AV入力は本機のメインメニューから切り替えることができる端子で、DVDプレーヤーなどの接続を想定している。一方、バックカメラ入力は信号を完治すると自動的に切り替わるので、リバースギアに連動してバックカメラの電源が入るようにしておけばいい。

ほかにGPSアンテナ端子やワンセグ用のアンテナ端子、ヘッドホン端子も装備している。ワンセグアンテナの端子にはロッドアンテナが取り付けられており、外部アンテナを使用する場合はロッドアンテナと排他使用となる。ヘッドホン端子については、車内で使用することは考えにくい。本機はバッテリー非搭載でACアダプターも付属しないが、オプションでACアダプターが用意されている。これを使えば屋内でポータブルテレビ、あるいはメディアプレーヤーとして利用できるので、その時のためのヘッドホン端子といえる。

なお、今回紹介した両モデルだが、販売チャネルがそれぞれ異なる。「PXN100S2」については全国のイエローハットグループ店での取り扱いとなり、地図更新権付きの「PNM70S2」は全国のオートバックスグループ店での取り扱いとなる。

《山田正昭》

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