【新聞ウォッチ】転換期を迎えたマツダ、山内会長の爽やかな引き際

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マツダ アテンザ
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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2014年5月10日付

●最高益相次ぐ、決算ピーク(読売・1面)

●新日鉄住金V字回復、造船、商社、住宅も好調 (読売・9面)

●カムリ米国生産富士重委託終了、トヨタ(読売・9面)

●ガソリン価格165円、2週連続値上がり(読売・9面)

●世界販売700万台目標、フィアット・クライスラー(読売・10面)

●マツダ会長山内氏退任(朝日・6面)

●自動車保険料の1.9%値上げ発表、あいおいと三井住友(毎日・8面)

●スズキ最終利益過去最高1074億円、駆け込み需要追い風(毎日・11面)

●中国新車販売8.8%増、4月(日経・9面)

●「ガラ軽」と呼ばせない、スズキ・ダイハツ、アジアで攻勢(日経・13面)

●スズキ、今期7%増益、VWとの係争早く終結したい、鈴木会長兼社長(日経・13面)

●ホンダ、部品の内製拡大、子会社の八千代から移管(日経・13面)

●富士重、投資7割増、3年で3300億円、世界販売110万台へ(日経・13面)

ひとくちコメント

人生いろいろ、会長もいろいろである。「これはお世辞ですよ」。今年1月に経営統合したフィアット・クライスラーオートモービルズのセルジオ・マルキオーネCEOが「私は鈴木修さんを尊敬しています」などと、スズキにラブコールを送るという報道に対し、当の鈴木会長は2014年3月期決算の会見の席でこのように一蹴した。

きょうの読売は「世界販売700万台目標、日本勢と再編の見方も」などと大きく報じているが、鈴木会長は「うちは(フィアットから) 30万基のエンジンを買っており、ほめてくれるのは儲かっている証拠。それなら是非値引きしてもらうようにお願いする」などと、独特の”オサム節”で煙に巻く。

鈴木会長といえば、すでに84歳の高齢だが、リーマン・ショック直後は「危機を乗り越えるにはベテランのほうがいい」と社長に復帰。その後も会長と社長を兼務して相も変わらず意気軒昂ぶりである。恐らく、係争中のVWとの提携解消問題が片付くまでは続投するとみられる。

一方、フィアットとの提携強化も噂されているマツダは山内孝会長が6月24日付で会長を退いて相談役に就くと発表。きょうの各紙が取り上げている。山内会長もリーマン・ショック後の2008年11月に社長に就任したが、在任中は円高に苦しめられて4期連続の赤字となり「何もいいことがなかった」と振り返るほどだった。

だが、厳しい経営状況の中でも、「円高でも儲かる体質」にするための思い切った構造改革プランを打ち出して将来の布石を打つことも忘れなかった。独自の環境技術「スカイアクティブ」の搭載車が相次いでヒットして昨年度は5期ぶりに黒字に転換。14年3月期決算では過去最高益を記録して復配も決定し、悲願の海外拠点では今年からメキシコ工場も本格稼働した。

山内会長は69歳で、鈴木会長に比べ15歳も若い。”現役”を退くには早すぎるという声もあるが、厳しい経営環境の下では、どん底から這い上がらないまま去ってゆく経営者も少なくない。

だが、山内氏の場合は、困難に直面しても逃げずに、苦労を重ねて耐えた経験があるがゆえの花道も整ったわけで、未練を残さない爽やかな引き際である。

また、5月12日には、99歳で天寿を全うしたマツダの元社長の山崎芳樹さんの「お別れの会」が広島市内のホテルで営まれる。

いずれにしても、一つの時代が終わって大きな転換期を迎えたマツダが新たな一歩を踏み出すことになる。

《福田俊之》

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