【アウディ A3セダン 試乗】カジュアルなスポーツバックか、フォーマルなセダンか…松下宏

試乗記 輸入車
アウディA3セダン 1.4T
アウディA3セダン 1.4T 全 27 枚 拡大写真

アウディの『A3』に4ドアセダンが追加された。日本ではCセグメントまでの比較的小さなクルマはハッチバックが中心だが、そこにあえて投入された『A3セダン』は輸入車の中で最も小さなセダンである。またアウディとしてA3にセダンを設定するのは初めてのことだ。

日本車にも手ごろなサイズのデキの良いセダンが少ないだけに、A3セダンは輸入車だけでなく日本車との関係の中でも、けっこう注目を集めるのではないか。実用的なセダンに対するニーズは一定以上にあるからだ。A3セダンは全幅が1795mmで日本の道路交通環境にも適合している。

A3セダンの基本はA3スポーツバックと変わらない。後部にトランクを設けただけといっても良い。これによって全長が140mm長くなり、車両重量10kgほど増加している。メカニズムも共通で、エンジンはFF車に2機種の1.4リットルが搭載され、4WD車に1.8リットルが搭載される。

1.8TFSIクワトロと1.4TFSI CODに試乗したが、実際に走らせた印象はA3スポーツバックと変わらない感覚だった。実際には違いがあるのかもしれないが、私にはそれを感じ取れるほどの敏感な感覚はなかった。

静粛性についても同様。独立したトランクを持ち、後部が閉鎖断面になるA3セダンは、スポーツバックに比べて静粛性が高まっているのだろうが、これも感覚的に違いは感じられなかった。

気筒休止機能の付いた1.4リットルのTFSI(直噴ターボ仕様)エンジンは、103kW/250Nmのパワー&トルクを発生する。低速域からトルク感のある走りを実現するエンジンで、既にA3スポーツバックで定評を得ている。気筒休止のない仕様に対して動力性能が向上しているので、走らせているとこれで十分という印象を受ける。

1.8TFSIクワトロは4WDシステムのために車両重量が130kgほど重い。でも動力性能は132kW/280Nmを発生し、標準車に対して重量増よりも動力性能の向上幅のほうが大きい。なので1.4リットル車と比べても格段にスポーティで余裕のある走りを実現する。1.4リットル車で十分と思ったが、1.8リットルに乗ると買うならこちらかなと思った。

ちょっと硬めでスポーティな感覚の足回りも好感が持てるものだった。アウディらしいしっかりした感じの乗り味を実現しているからだ。もちろんアウディドライブセレクトによって好みの味付けに変えることも可能だ。

1.4TFSI CODが374万円で、1.8TFSIクワトロは422万円だから、約50万円の価格差は相当に大きいし、それぞれのモデルに適したオプションを装着すると更に価格差が広がる。これに燃費の差が加わることなどを考えると、いろいろな意味で難しい選択になる。

ちなみに、A3スポーツバックに対するA3セダンの価格アップは17万円ほど。ボディ代の差額としては納得モノだろう。カジュアルな感覚で乗るならスポーツバックだし、フォーマルな使い方を考えるならセダンという、ごくオーソドックスな選び方をすれば良い。どちらを選択しても間違いにはならない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 真夏のダッシュボードが20度以上低下!? 驚きの遮熱サンシェード新時代[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. 新型フォレスター半端ないって! 純正用品で大変身、日本初披露“サンドカラー”のクロストレックが登場…東京アウトドアショー2025
  3. スズキ『エブリイ』が災害時は「シェルター」に、軽キャンピングカーの新たな可能性
  4. 世界最強の2.0ターボ搭載車に幕、メルセデスAMG『CLA 45 S』最終モデルが登場
  5. どこだ? 日産が7工場を閉鎖予定---可能性のある工場すべてをリストアップした
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
ランキングをもっと見る