『3シリーズ クーペ』から『4シリーズ』へ…名を改めて生を受けたBMW発最新クーペの魅力はもちろん、まずはその伸びやかなスタイリングにある。
『3シリーズ セダン』と変わらぬ長いホイールベースを採用した結果、ドア後方に大きめスペースが残るそのサイドビューは、「”間延び”を感じさせないギリギリのポイント」という印象。一方で、セダンに対してココを短縮しなかった結果、後席にも大人が長時間過ごせるスペースが確保されている。トランクルームも広いので、いかにも”使えるクーペ”というパッケージングの持ち主だ。
動力性能は、フィーリング面含め4気筒エンジンを積む「428i」もなかなか。だが、6気筒エンジンの「435i」に乗り換えると、正直「やっぱりこちらが上!」という印象を受けた。
ワイドレンジながらステップ比も小さい8速ATとの組み合わせで低回転域から力感に富む一方、7000rpmのレッドラインまでキッチリとパワフルに回る。スポーティで澄んだサウンドはゴキゲンそのものだし、気になる振動を伴わないスムーズさも特筆もの。それはまさに”珠玉の逸品”。「これは、ポルシェの”フラット6”さえ上回る出来栄えだ」と、そう思う。
テストドライブした「435i」は、「オプションの電子制御式可変ダンパーや強化ブレーキをオプション装着」という但し書きが必要だったものの、しなやかな乗り味を実現させつつも高次元でバランスされたコーナリング能力を示すフットワークが何とも秀逸。
そんなこんなで、久々に”走り始めたら降りたくなくなる”モデルに乗った気がした。「クルマ好きには、一度は体験して貰いたい!」と、心底思える4シリーズである。
●パッケージング:★★★★
●インテリア/居住性:★★★★
●パワーソース:★★★★★
●フットワーク:★★★★★
●オススメ度:★★★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。