【鈴鹿8耐】4耐は“ライト版8耐”ではない…17歳ライダーが見せた「魂の完走」

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
SP忠男レーシングチーム『ヤマハYZF-R6』の名越公助
SP忠男レーシングチーム『ヤマハYZF-R6』の名越公助 全 6 枚 拡大写真

2輪モータースポーツの祭典である「コカ・コーラ ゼロ 鈴鹿8時間耐久ロードレース」(鈴鹿8耐)。4日間にわたるレースウィークエンドでは、もう1つのレースがある。それが「鈴鹿4時間耐久ロードレース」(鈴鹿4耐)だ。

鈴鹿4耐は、単なる“ライト版鈴鹿8耐”ではない。レギュレーションの面で8耐と大きく異なるのが、タイヤ交換の回数だ。2014年から8耐でも15回というタイヤ本数制限が設けられたが、4耐で使用できるタイヤは基本的に1セットのみだ(ウェットタイヤを除く)。炎天下の中で行われる耐久レースとしては、8耐をもしのぐ非常に過酷な条件と言える。

だからこそ、優勝はもとより、完走することそのものが名誉となる。26日に行われた鈴鹿4耐決勝レースでも1つのドラマがあった。トップに立ったチームが次々と転倒する波乱の展開の中、レース中盤の51周目で首位についたSP忠男レーシングチーム『ヤマハYZF-R6』の名越公助/目代祐紀組。ラスト1時間を切ると、Yamaha Racing Indonesia A『ヤマハYZF-R6』のイマニュエル・プラツナ/茨木繁組との一騎打ちとなった。

両チームとも最後のピット作業を終えて、SP忠男レーシングは名越、Yamaha Racing Indonesia Aはプラツナでファイナルスティントへ。両者とも弱冠17歳、未来あるライダーが駆る2台のYZF-R6が繰り広げるドッグファイトが始まった。86週目でプラツナがトップを奪うが、89週目で名越が再逆転、名越はそのままハイペースで駆け抜けた。しかし、スプーンカーブで周回遅れを抜こうとした時マシンが接触、バランスを崩した名越はそのままセーフティーゾーンへ突っ込んだ。残り時間は5分だった。

この瞬間、SP忠男レーシングチームの優勝は事実上消え去った。マーシャルによって担架が投入される中、名越は自力で立ち上がり、横たわるマシンへと向かった。損傷が少ないことを確認すると、そのままレース復帰へ向けてゆっくりとマシンを始動した。

数分後、チェッカーフラッグが振られ真夏の耐久レース前哨戦は終わりを告げた。SP忠男レーシングチームは6位での完走を果たした。目前に迫った栄冠を、あと一歩のところで逃した名越だが、満身創痍での完走に観客は惜しみない拍手を送った。“鈴鹿に潜む魔物”を知った若きライダー、ヘルメットにあしらわれたトレードマークの大きな目玉と、その中の瞳はすでに次の戦いに向いている。

《瓜生洋明》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタの顧客は1億5000万台…バリューチェーンで財務基盤強化
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  4. V8エンジン搭載のレクサスセダン『IS500』がクライマックス! 950万円の特別仕様を発売
  5. 晴れた日の洗車が愛車を傷つける! “夏洗車”の落とし穴と対策~Weeklyメンテナンス~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
ランキングをもっと見る