【ヤマハ YZF-R25 試乗】バイクの原点がここに、“使い倒せる”パワーと車体…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
ヤマハ YZF-R25
ヤマハ YZF-R25 全 16 枚 拡大写真

ヤマハ『YZF-R25』は原点を思い出させてくれるバイクだ。

そもそもバイクというのは「足代わりに気楽に使いながらも、気が向けばどこでも遊べる」ことが身上のはず。昨今、様々な形でそうした“原点バイク”が多く出現しているが、R25は交通手段として普通に使え、ワインディングでのコーナリングはもちろん、エンジンを使い切ることさえもスポーツとして楽しめる。

ライポジは、フルカウルスポーツにありがちな強い前傾スタイルではなく、無理のない自然体。足着きも悪くないし、装備重量は166kgと軽く、気楽に扱える。ハンドル切れ角も34度とネイキッドモデル並みにあるので、小回りに事欠くこともない。

エンジンはやや高回転型なので、6速でトコトコ走りながら、自在にダッシュできるというほど中回転域トルクが豊かなわけではない。でも、6段のトランスミッションを活用すれば問題はない。

幅広く使える一方で、スポーツバイクとして楽しめる。決してライダーを焚きつけるわけでないが、マシンがしっかり応えてくれるので、もっと楽しもうという気にさせられる。

街乗りバイクよろしく軽快に流していくことができれば、レーシングマシンのようにダイナミックな荷重移動で駆っていくこともできる。豊かな姿勢変化を生かした荷重コントロールが的確であるほどに曲がり、接地感も伝わってくる。すると、自分とマシンへの自信も高まってくるというものだ。

エンジンには、性能を目一杯引き出す面白さがある。7000rpm以上ならコーナーの立ち上がりでトルクカーブに乗れて、トルクピーク10000rpm辺りから一気にエンジンの様子が一変。そして、レッドゾーン14000rpmの手前、13000rpm過ぎまで引っ張れば、かつての2サイクルを思い出すエキサイティングである。

R25の魅力はそれだけでない。全てが等身大でバランスしており、マシンに負けることなく使い切ることができ、物足りなさを覚えることもない。

フレームは、かつてのヤマハ『RZ250R』を思い出させるワイドループのタンクレールを持ち、それでいてエンジン下部にダウンチューブはなくて、エンジンが剛性部材の役割を担っている。その剛性バランスが絶妙で、36psのパワーともマッチングしている。

標準タイヤであるIRC製の『RX-01』バイアスタイヤは、タイヤ全体がフレキシビリティで安定したグリップ力を発揮し、豊かな情報量を伝えてくれる。ラジアルタイヤのように荷重でタイヤを潰すといった個性もなく、自由自在だ。

これらに、必要にして過剰ではないブレーキ力、サスペンション性能などがマッチングし、生活の一部として無心に楽しめるフィーリングとなっているのだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
快適度:★★★★
タンデム:★★★
オススメ度:★★★★★

和歌山利宏|二輪ジャーナリスト
1954年生まれ、1975年にヤマハ発動機に入社し、様々なロードスポーツバイクの開発に携わり、テストライダーも務める。また、自らレース活動も行ない、鈴鹿8耐第5回大会では4位入賞の成績を持つ。現在は二輪ジャーナリストとして執筆活動、ライディングインストラクターなど多方面で活躍中。

《和歌山 利宏》

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