Yahoo!カーナビの仕事場拝見…理想と現実を組み合わせる“新日本型“の工夫

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整然としたオフィスに安らぎをもたらす休憩スペース。ここで仕事をする人も多い
整然としたオフィスに安らぎをもたらす休憩スペース。ここで仕事をする人も多い 全 2 枚 拡大写真

IT系の企業に対して、多くの人が抱くイメージは、キレイなオフィスを始めとする快適な職場環境だろう。それは本当なのか、Yahoo! JAPANの名古屋支社を訪れ、オフィスを目の当たりにしながら話を聞いた。

【画像全2枚】

そこはまさに誰もが想像するIT企業の姿。しかし同時に、意外なほどの堅実さを感じさせるものだった。

◆くつろげる休憩スペースでリフレッシュ

名古屋駅のほど近く、オフィスビルの1フロアにあるYahoo! JAPAN名古屋支社は、一目見てまさに“IT企業”といった印象。新しく、明るいオフィスは整然としており、ものが非常に少ない。スチールの書棚やロッカーは少なく、島型配置のデスク間隔もゆったりとしている。そのデスクの上にも山積みの書類などは無く、その代わり、ぬいぐるみが置かれていたりする。

そのオフィスの一角に、まるでショッピングセンターにあるキッズコーナーのような、明らかに異質なスペースがあった。そこは社員の休憩スペースで、コーヒースタンドなども設置されている。今回の取材も会議室ではなく、あえて希望して、このスペースを使わせていただいた。

面白いのは、このスペースにはカーペットが敷き詰められており、靴を脱いで入るようになっていること。ちょっとしたことのようだが、靴を脱ぐというのがことのほか気持ちいい。多くの社員はノートパソコンひとつあれば仕事ができるので、この休憩スペースを使って仕事をしたり、打ち合わせなどをする人も多いという。整然としたオフィスを見た時は「息苦しく感じてしまうかも」と思ったが、この休憩スペースがあればリフレッシュできそうだ。

◆会議なし、出張なし、電話もほとんど使わない

今回の取材は『Yahoo!カーナビ』について話を聞くのが大きな目的である。同カーナビアプリは「マップイノベーションセンター」が開発を担当しているが、そこは特定の施設や場所を示しているのではなく、部署名のようなものだという。チームは50名ほどで、Yahoo! JAPAN東京本社、スタッフの半数が在籍する名古屋支社、そして大阪支社それぞれにスタッフを配置している。

Yahoo!の地図サービスは、名古屋の企業だった「アルプス社」を吸収合併した関係上、名古屋が中心となっている。そのため社員のあいだでも「地図やカーナビの仕事は名古屋に行かないと」と思われていた時期もあったそうだが、Yahoo!では東京在住者の「転勤したくないが地図の仕事はしたい」という希望にも柔軟に応えた。

しかし、すべての拠点にスタッフが分散していて、スムーズな仕事ができるのか? 従来の日本型企業なら、出張の連続になってしまいそうだが、それはほとんど無いという。無駄な出張費を使わないということよりも「移動時間がもったいない」「新幹線に乗る時間があれば、ひとつでもタスクを消化したい」という感覚なのだそうだ。打ち合わせや会議は、テレビ会議やメールなどで事足り、電話すらあまり使わないという。

もうひとつ印象的だったのは、Yahoo!には「定例会議」が無いということ。旧来の日本型企業では、出張と会議に追われて肝心の仕事が全くできないというパターンが多い。Yahoo!はこうした日本企業の悪癖とは完全に決別しているのだ。

◆どこでもドアならぬ“どこでもオフィス”で社員を解き放つ

かつて「在宅ワーク」という言葉がもてはやされた。取り組んだ企業も多かったが、あまり定着しなかったようだ。ところが、Yahoo!では「社員を解き放つ」をキーワードに「どこでもオフィス」という制度を実施している。これは月2回まで、会社のノートパソコンを自宅に持ち帰り、仕事ができるというもの。

まさに在宅ワークなのだが、月2回というところが重要。もっと本格的な在宅ワークを導入しようとすると、それなりの設備が自宅に必要となったり、ほかのスタッフとの意思疎通に問題が生じる可能性がある。それで月2回までに限定しているのだ。また、このように自由な働き方を認める反面、社員には直属の上司と30分間面談する「One on One(ワン・オン・ワン)」が週1回義務付けられている。

One on Oneには、組織の縦方向の意思疎通を円滑にするということに加え、エンジニアもビジネスに必要なコミュニケーションスキルをしっかりと身につけるべきだという意味がある。また、マップイノベーションセンターでは朝礼に相当する朝会も行っていて、スタッフが多拠点に分散しているからこそ実施しているという。

ひとつの部署のスタッフが多拠点に分散していたり、どこでもオフィスといった先進的な制度を実施しているのは、いかにもIT企業らしい。その反面、1 on 1や朝会といった取り組みはいかにも日本的だし、社員に面倒がられそうな印象もある。理想の職場環境を目指しつつ、現実的に必要な施策もきっちりと行っていくのがYahoo! JAPAN流なのだろう。

社員の能力や情熱を引き出す施策と、社員をスキルアップさせ、生産性を上げる施策が並行して実施され、うまくバランスがとれているように見えた。

《山田正昭》

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