忘・新年会シーズンに大活躍「タクシー配車アプリ」の熾烈な顧客獲得戦

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ほぼ到着時間通り、タクシーが到着。
ほぼ到着時間通り、タクシーが到着。 全 7 枚 拡大写真

 年末にかけてタクシー配車アプリの大手、日本交通と東京無線協同組合の2強がTポイントに対応し、配車アプリを使うことでポイントが付与されるようになるなど顧客獲得競争が激化している。

 本連載の第35回でタクシー配車アプリやそのオペレーションの裏側についてレポートしたが、今回は日本交通と東京無線協同組合両グループのTポイントに関わる対応やキャンペーン、さらにサービスの活用の仕方についてご紹介したい。

■150万ダウンロード突破!アプリ経由の売上げは40億円超

 タクシー配車アプリのトップランナーは日本交通で、2011年1月にスタートしている。その後、日本交通は全国のタクシー会社と順次提携し、同年12月にはアプリ「全国タクシー配車」を提供し、このアプリ1つで全国47都道府県で主要な提携会社のタクシーを呼べるアプリへと発展させていった。

 これを追う形で、東京無線共同組合は2012年3月より「すぐくるタクシー 東京無線版」を開始。東京無線の場合は、同社で開発したタクシー配車ソリューションを全国の提携タクシー会社に提供し、各地ローカルのタクシー会社が独自ブランドの配車アプリとして展開できるようにしてきた。

 東京無線系では、それぞれ各地のタクシー会社アプリ内で、他の都道府県に行った際にもそのアプリ内から提携先のタクシーを呼び出すことができる。また地方都市のローカルブランドで親しまれているタクシー会社のアプリでは、東京で利用する際に東京無線のタクシーを配車できるなどの提携を行っている。アプリを活用してもらうことで、顧客に自社のタクシーを優先的に利用してもらおうという取り組みであったが、その後は全国への拡大のほか、東京の他のタクシー会社各社も順次導入するなどし、タクシー利用が欠かせないユーザーを中心に利用が着々と広まっている。

 日本交通の公表データによれば、すでにアプリは150万ダウンロードに達し(2014年11月達成)、アプリ経由での配車による売上げが40億円(2014年7月達成)を突破しているという。さらに今年に入ってからは世界で利用されているタクシー/ハイヤー配車サービスの「Uber」や「Hailo」も日本に参入するなど、タクシー会社同士による配車アプリを通じた競争は一段と激しさを増している。

 こうしたなか、この年末には日本交通や東京無線はアプリでの配車を利用した際にTポイントが付与されるサービスを開始し、他社の配車アプリと差別化を図ろうと試みている。

 まず日本交通は12月3日から、ネット決済手段としてタクシー料金を「Yahoo!ウォレット」での支払いに対応。配車アプリを使った上でYahoo!ウォレットでネット決済をした場合にTポイントを2倍付与するキャンペーンを12月31日まで展開している。

 通常では100円の乗車料金ごとに1ポイント付与されるようであるが、これが期間限定で2倍付与される。決済はあくまでYahoo!ウォレット(Tポイント番号が登録されたYahoo! JAPAN ID)の利用が前提になる。なお日本交通では、アプリを使った配車を利用した場合、配車料金が別途410円かかる。

 一方の東京無線は12月9日より、配車アプリにYahoo! JAPAN IDを設定することで、配車アプリを使ってタクシーを呼ぶと5ポイントのTポイントが付与されることになった。乗車料金はこれまで通り、Tポイントが付与されるクレジットカードや電子マネーで支払えば、乗車料金に相当したTポイントが別途付与される。なお現在はAndroid版のみの対応となっている(iOS版は今後対応予定)。

 このYahoo! JAPAN ID(Tポイント番号の登録がされていること)との紐付けができていれば、アプリ経由で配車を依頼すると、自動的に5ポイントが付与される。東京無線の場合、アプリを使った配車料金は310円である。乗車料金へのTポイントの付与は以前から実施していたが、こちらはTポイント対応のクレジットカードや電子マネー(Wカード/Tカードプラス(JCBのみ)/ファミマTカードなど)を利用した場合に、200円につき2ポイントが付与される。

 日本交通や東京無線に限らず、これまでANAやJALのマイレージを貯められるタクシー会社などが以前からあったが、それらのマイレージに加え、今回のTポイントへの対応などさまざまなポイントを貯められるような取り組みが全国のタクシー会社で始まっている。

■年末年始こそ手放せないタクシー配車アプリ

 配車アプリの使い方はとても簡単。アプリを起動すると、位置情報を使って自分がいる周辺の地図が表示される。地図を拡大していき、タクシーに来てもらいたい場所(「ココに呼ぶ」のマーキング)を確定させ、「すぐにタクシーを呼ぶ」をタップすれば呼び出し完了となる。

 タクシーの到着時間の目安や、向かっているタクシーの現在地などを確認することも可能。アプリの利用は無料だが、首都圏では配車料金が掛かるのが一般的である。一方、地方の提携タクシー会社では迎車料金を取らないところが多い。

 タクシー配車アプリは、タクシーの「流し」が無い地方や、都心部でも路地裏など大通りから離れた入り組んだ場所に呼びたい時に重宝するが、空車をすぐに拾える都心部ではあまり利用が多くはなかったようだ。

 しかし年末年始の夜間など、タクシーがつかまらないような繁忙期には大変重宝するはず。タクシー配車というと、一般的に電話でオペレーションセンターに連絡してタクシーを回してもらうことになるが、配車アプリを使うと、オペレーションセンターのオペレータを介さず、ダイレクトに最寄りを走っている空車に迎車指示を飛ばすことができる。

 繁忙期こそ、オペレーションセンターの電話がつながらないほど配車依頼が集中することも少なくないが、そんな時にタクシー配車アプリが役立ってくれるだろう。

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第67回 忘年会&新年会シーズンに大活躍!? 競争が激化するタクシー配車アプリ

《木暮祐一@RBB TODAY》

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