【フォーミュラE】新たにスタートしたEVレースの最高峰…第3戦までを振り返る[写真蔵]

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フォーミュラE
フォーミュラE 全 56 枚 拡大写真

フォーミュラEとは、FIA(国際自動車連盟)主催の電動フォーミュラーカーレース。モーターを動力源とするため、ガソリンエンジンを搭載するF1などとは異なり、走行中に排気ガスは一切出さない次世代のレースとして注目される。

車体のアセンブリはスパークRT、モーター部分はマクラーレンが開発し、シャーシはダラーラが受け持つ。バッテリーはウイリアムズが担当し、ルノーがシステムのインテグレーションやメンテナンスを行う。

今年が開催初年度となるフォーミュラE。1年目から多くのエントラントが集まり、ドライバーの顔ぶれも非常に豪華なシリーズとなった。BMWザウバーなどで活躍したニック・ハイドフェルドや、アイルトン・セナの甥のブルーノ・セナ、チームトヨタF1で熱い走りを披露したヤルノ・トゥルーリなど、かつてF1で鳴らしたドライバーが名を連ねる。

チームでは、かつてF1にも参戦した英ヴァージングループが「ヴァージン・レーシング・フォーミュラEチーム」を立ち上げ参戦。鈴木亜久里がF1に参戦した際の「スーパー・アグリ」のスタッフが多く在籍する「アムリン・アグリ」など日本でも馴染みのチームも多い。モナコを本拠地とする「ベンチュリ・グランプリ・フォーミュラEチーム」は、俳優のレオナルド・ディカプリオがチームに参画し話題となった。

モーターで走行するためエンジン音が一切しないのもフォーミュラEの大きな特徴だ。走行中は電気自動車特有の甲高いモーターとインバーターの作動音、空気を切り裂く音、タイヤからのスキール音が聞こえてくる。F1の"爆音"に慣れ親しんだレース好きにとっては些か物足りないかもしれないが、爆音を発しないため今シーズンのフォーミュラEは全10戦全てが市街地での開催となった。コンクリートウォールぎりぎりを攻めるフォーミュラレースはやはり迫力がある。

レースを盛り上げる秘策は他にもある。フォーミュラEには「ファンブースト」と呼ばれる投票機能があり、スマホやPCなどで観客や視聴者が好きなドライバーに投票できる。レース開始前までに多く得票を集めた上位3名のドライバーは、レース中に2回、F1のKERSのように2.5秒の間、一時的に車のパワーを150kwから180kwに上げることができ、レースがよりエキサイティングな展開となる。観客が一緒になってレースを盛り上げるのもフォーミュラEの大きな特徴である。

フォーミュラE開幕戦の舞台は中国・北京。開幕直前には佐藤琢磨が「アムリン・アグリ」からスポット参戦することも伝えられた。当初、ガス欠ならぬ”電欠”症状やまともにマシンが走らないのではないかと、レース開催を危ぶむ声もあったが、蓋を開けてみるとレースは極めてエキサイティング。接近戦あり、オーバーテイクありのれっきとしたフォーミュラカーレースとなった。

レースは、最終ラップの最終コーナーでトップを争う2台が大クラッシュするという劇的な幕切れ。ドライバーの安否が危ぶまれるほどの大クラッシュだったが、幸い大事には至らなかった。このクラッシュにより、記念すべきフォーミュラE最初の勝利はF1参戦経験もあるルーカス・ディグラッシ(アウディ スポーツABT)が獲得した。2位はフランク・モンタニー(アンドレッティ・フォーミュラE)、3位にはサム・バード(ヴァージン・レーシング)が入り、佐藤琢磨は22週目にリタイアとなった。

第2戦の舞台はマレーシアのプトラジャヤ市街地コース。サイド・バイ・サイドの激しいレースがここでも繰り広げられた。市街地コースということもあり、各車スリッピーでバンピーなコースに苦戦を強いられたが、ここで強さを見せたのがサム・バード(ヴァージン・レーシング)。序盤でトップに立つと圧倒的な強さを見せ優勝を飾った。北京で優勝のルーカス・ディグラッシ(アウディ スポーツABT)が2位。3位にはかつてトロロッソからF1出走経験もあるセバスチャン・ブエミ(e.ダムス ルノー)が入った。

第3戦は舞台を南米に移しウルグアイはプンタ・デル・エステ。南米有数の美しいビーチリゾートでの開催となった。レースは序盤でセーフティカーが3回入る波乱の展開。3度目のセーフティカー導入時には、各車一斉にピットイン。フォーミュラEは電池が1レース持たないため、ドライバーは必ずピットインしマシンに乗り換えなければならない。ピットでドライバーが車両を乗り換えるのもフォーミュラEならではの光景だ。荒れたレースを制したのはe.ダムス ルノーのセバスチャン・ブエミ。2位はネルソン・ピケJr.(チャイナ・レーシング)、3位はルーカス・ディグラッシ(アウディ スポーツABT)が入った。

次戦は年明けの1月10日。アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで開催される。

《レスポンス編集部》

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