【ホンダ グレイス 試乗】セダン復権に期待できるモデル…松下宏

試乗記 国産車
ホンダ グレイス
ホンダ グレイス 全 13 枚 拡大写真

『グレイス』はけっこう魅力的なクルマだ。ボディはオーソドックスなセダンながら、前後のピラーを傾斜させたデザインはスタイリッシュなものだし、後席に座れば上級車を上回るような足元空間が広がっている。燃費も条件の良いグレードは34.4km/リットルという好数値を得ている。

【画像全13枚】

今の日本ではコンパクト&軽自動車かミニバンばかりが良く売れる状況だが、グレイスのような魅力的セダンの登場は、セダンの復権につながる可能性があるように思う。

基本プラットホームは『フィット』系と共通で、ホイールベースを延長して一段と広い広い後席空間を作った。することで室内に広々とした空間を作っている。頭上の余裕は小さいが、足元空間の広さはびっくりモノだ。

インテリアは大半の部分がグレイス専用にデザインされ、心地よさや上質さが追求されている。フィットと共通なのはセレクターレバーやメーターパネルのディスプレーなどだけだ。トランク容量は430リットルでゴルフバッグを3個積めるという。

センタータンクの基本プラットホームをベースに、パッケージングで更に頑張ったクルマで、セダンとしての基本がしっかり作られている。

基本メカニズムはフィットと共通。スポーツハイブリッドi-DCDと呼ぶ1モーター方式のハイブリッドを搭載する。アトキンソンサイクルの効率の良い1.5リットルエンジンに、高出力モーターを内蔵したデュアルクラッチを組み合わせている。

走りはスムーズそのものだ。1モータータイプのハイブリッドながら、モーターだけで走るEV走行も可能で、燃費優先のモードであるECONスイッチをONにして走り出せば、発進は基本的にモーターだけのEV走行になる。電池の残量に応じてエンジンが始動してハイブリッド走行になり、市街地などはEVとハイブリッドを自在に切り替えて走る。ドライバーは何も意識することなく、常に燃費の良い状態で走れるのだ。

走りは全体に洗練された印象だ。セダンにふさわしい落ち着いた走りを感じさせる。市街地や高速クルージングなどでは静粛性も上々だ。ほかの音がほとんどない発進直後には、ウィーンというモーター音がかすかに聞こえるが、走り出してしまえばそれも気にならなくなる。

乗り心地も極めて快適だ。ホイールベースが長くなったことが乗り心地に貢献しているほか、後輪に液封コンプライアンスブッシュと呼ぶ部品を採用し、不快な振動を遮断する仕組みにしたことが効果を発揮している。

追突軽減ブレーキやサイド&カーテンエアバッグをセットにしたあんしんパッケージが、グレードによって標準かオプションで用意されている。追突軽減ブレーキは赤外線を使った近距離・低速用の簡易型だが、今の時代のクルマ選びでは絶対の必需品である。オプションも含めて装着車を選びたい。

フィットや『ヴェゼル』がリコールを繰り返したパワートレーンについていろいろと確認した。フィットやヴェゼルのリコールで悪いところを出し切ったほか、グレイスも発売時期を大幅に遅らせて品質の確認をしたので大丈夫との説明だった。絶対ということはあり得ないが、安心して乗れるクルマと考えていいだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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