【ホンダ N-BOXスラッシュ 試乗】音・走り、スラッシュらしさは「Xグレード」にあり…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ N-BOX スラッシュ Xグレード
ホンダ N-BOX スラッシュ Xグレード 全 15 枚 拡大写真

全長・全幅に制限ある軽自動車がより広い室内空間、荷室空間を得るとすれば、全高を高めるしかない(パッケージの工夫もあるが)。そしてそれがハイトワゴン系、モアスペース系のトレンドだ。

【画像全15枚】

しかし、ホンダはそうした流れに逆行したかのような、モアスペース系の『N-BOX』のルーフを切り取り、全高を110mmも低めた、リヤヒンジドアのチョップトップモデルを作ってしまった!!

そもそも広大な室内空間、クラス最大級の後席居住空間を持つN-BOXに新たなる価値を注ぎ込んだ『N-BOXスラッシュ』である。

「もう箱とは言わせない」3ドア風のスタイリングはアメリカンかつオールディーなテイストに溢れている。ツートーンカラーを含む全18色のボディーカラーを用意しているのもすごいが、それ以上にカスタムカーの本場仕込みのインテリアカラーパッケージが面白い。

「カリフォルニアダイナースタイル」の赤×チェッカーフラッグが鮮烈なアメリカンダイナー、ハワイの海、空、空気を連想させるベージュ×ブルーの「ハワイグライドスタイル」、テネシーの生演奏バーをイメージした渋いブラウンの「セッションスタイル」の3種類を用意。カラードディッシュホイール(スチール)がマッチし、専用キーまで用意する凝りようだ。

そして、すぐさま本家N-BOXにも採用された、開発陣悲願の後席5:5分割&19cmスライド機構付きシートも、従来のダイブ&チップアップ機能と両立して設定されている。つまり、助手席背後のシートを前にスライドさせたベビーフレンドリーな使い方はもちろん、荷室奥行きの拡大も自由自在。スタイリッシュなだけでなく、実用性もバッチリなのである。

ここで乗った、最高25.8km/リットルの燃費性能を誇るNAモデルの運転感覚は、シートハイト調整最下端位置で30mm下がったヒップポイント(N-BOX比)と、天地方向が狭まったフロントウィンドウによって、ミニバン感覚のN-BOXとはまったく違う、新鮮で安心感あるものだった。

後席は頭上方向こそN-BOXより狭いものの、それでも身長172cmのドライバー、乗員基準で125mmのスペースがあるのだから十分だ(まっとうとも言える。N-BOXは230mm)。ひざ回り空間に至ってはN-BOXよりゆとりあるクラス最大の430mmもの余裕が確保され、その広々感に圧倒されるばかり。さらにシートクッション長が伸ばされ、掛け心地はさらにいい。積極的に座りたくなる後席である。

また、後席を最後端位置にセットするとフロアには幅1130mm、奥行き600mmものフラットスペースが出現。それこそ大型犬をくつろがせることだってできる広さなのだから、愛犬家にはたまらない。

装備面では最上級のXグレードにシート&ステアリングヒーター(ステアリングが冷たい感触だから)、新開発された電子パーキングブレーキ、軽さが選べる電動パワーステアリングを完備するなど充実している。

そんなN-BOXスラッシュの走りっぷりは、カッコ良すぎるエクステリア&インテリアに負けない資質、アメリカンな気分にひたれる!? 心地よさの持ち主だった。

走りだせば、まずは軽やかかつ静かでスムーズな出足~中間加速が印象的。多くのNAエンジンの軽自動車の場合、発進時に3気筒特有のノイズ、バイブレーションが発生しがちだが、そのあたりは見事に封じ込まれ、とにかくスイスイ軽やかに、静かに走るイメージだ。

乗り心地も文句なしである。段差の乗り越えをタンタンといなし、荒れた路面でも不快な突き上げ感は皆無に近い。それこそ下手な1.5リットル級のコンパクトカーやハイブリッドカーよりグッドな快適感の持ち主なのである。

そう、N-BOXに対してルーフ高を100mm低め、チョップトップモデルお約束の10mmのローダウンを施したことで重心がどーんと(40mm)下がった結果、足回りを固めずに済むから乗り心地が向上するのは当然とも言えるが、さらにリヤダンパーを大径化するなどして、軽自動車最上級と言える夢のように上質で快適な乗り味を実現したわけだ。

ただし、全グレード標準の軽さが切り変わるモード切り替え可能なパワステは、50~60年代のアメリカ車を意識したのか!? かなり軽め。高速道路のカーブや山道ではちょっと頼りなく感じるシーンもあった(直進時、駐車時はまったく問題ない)。

NAモデルの個人的なお薦めはXグレード。理由は装備の充実ぶりに加え、音にこだわりまくった8スピーカー+サブウーファーを7チャンネル、360Wのアンプで駆動するサウンドマッピングシステムを標準で備え、オーディオをいい音で聴かせるため車内の静粛性もワンランク上だから。

なおかつN-BOXスラッシュらしさを120%楽しめるインテリアカラーパッケージがOPとして選べる点も大きい(X以外は選択不可)。そしてものすごく重要なことは、ホイールがN-BOXスラッシュにもっとも似合うアメリカンな「カラードディッシュホイール」(スチール)になるのはXグレードのみという事実である。ベース車両で165万円とNAモデルとしては高価だが、それに見合う価値、個性があると思える。

そうそう、N-BOXスラッシュはペットフレンドリー度も極めて高い。乗り心地はいいし、特にXグレードの室内は想像以上に静かで犬の耳に優しい。さらに荷室開口地上高はN BOXの480mmに対して570mmになってしまうが、それでもワゴンの平均値(620mm程度)より低く、大型犬、ジャンプ力ある中型犬、小型犬が乗り降りしやすい低さ(段差なし)なのである。また、後席をダイブダウン格納すれば奥行き1450mmものフラットなスペースが出現。大型犬ものびのびとドライブを楽しめる(2~3名乗車時/N-BOXはやや角度がつく)。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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