年金のための貯蓄、「スーパー口座」の資金を住宅購入に使う動きに異論反論…オーストラリア

エマージング・マーケット オセアニア
オーストラリア シドニー(参考画像)
オーストラリア シドニー(参考画像) 全 1 枚 拡大写真

キーティング元首相と経済界は批判的

 ジョー・ホッキー財相は、「初めての持ち家購入者が自分のスーパーアニュエーション(以下スーパー)口座から資金を引き出せるようにしたい」と発表したが、これに対して、スーパー生みの親であるポール・キーティング元労働党連邦財相・連邦首相から批判が出るとともに経済界からさえ批判が出ている。また、住宅不動産投資熱を抑えず、購買力を支える政策では単に住宅価格を押し上げるだけとの批判が飛び出している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 キーティング氏は、「国民が若いうちにスーパー貯蓄から引き出せるようになれば、退職した老後にはそれだけ引き出す金が減り、ひいては連邦政府の高齢者介護予算への圧力を高めることになるだけだ。自由党が倹約を評価するとは思ったことがないが、自由党は保守派である限り、倹約を奨励するものと思うのが普通だ。しかし、オーストラリアの自由党は倹約を信じておらず、チャンスさえあれば、オーストラリアの国民全加入スーパーをいつでもご破算にしようとしている」と語った。

 先週の「世代間報告書」では、トニー・アボット保守連合政権は、オーストラリアの人口増加と高齢化を予想する報告を出しており、スーパーなどの貯蓄を増やすことを呼びかける内容になっていた。しかし、今度のホッキー発言は、スーパーを取り崩して初めての持ち家購入やまた教育費に充てるよう勧めるものになっている。

 インダストリー・スーパー・オーストラリアのデビッド・ホワイトリーCEOは、「初めての持ち家頭金4万ドルは、10万ドルの複利が消えることから総額で14万ドルのスーパー減になる」と試算している。バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチのソウル・エスレーク主任エコノミストは、「スーパーから引き出しても将来的に住宅価格の上昇で相殺される可能性もあるが、何の保障もない」と語っている。また、「初めての持ち家購入者の住宅購買能力を引き上げても住宅価格が上がるだけ。住宅不動産の投資的魅力を下げるしかない」という声も挙がっている。

■ソース

Joe Hockey’s super idea not so super, say Paul Keating and industry chiefs

「住宅購入にスーパー引き出し」と財相

《Nichigo Press》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  4. 日本初のクルマ専用「除湿剤」が登場、最長180日間快適に
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  6. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  7. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  8. 快進撃のヤマハ、次は「親しみやすいスーパースポーツ」で勝負!?「鈴鹿8耐2025」注目の1台
  9. ホンダ『プレリュード』新型、インドネシアでは「オールブラック」なプロトタイプを初公開
  10. 中国マイクロEV『小馬』10万台を販売した「かわいいペット」戦略
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る