【フォード マスタング 試乗】先入観を払拭する魅力的なエンジンとミッション…山崎元裕

試乗記 輸入車
フォード マスタング 50イヤーズエディション
フォード マスタング 50イヤーズエディション 全 40 枚 拡大写真

1960年代に誕生した初代モデルから数えて、第6世代となる新型フォード『マスタング』の日本導入が始まった。

【画像全40枚】

とはいえ現在の段階で販売されているのは、昨2014年がマスタングの生誕50周年だったことを記念して発売された、350台の限定車、「50 YEARS EDITION」のみ。右ハンドルとなる正式な日本仕様が登場するまでには、まだ若干の時間が必要という状況だ。

アメリカ車といえば、その魅力は大排気量のV型8気筒エンジンに尽きる。そのようないささか古い感性の持ち主である私には、「わずかに」2.3リットルの直列4気筒エンジンで走る新型マスタングに対して抱いた第一印象は、正直なところ好意的なものではなかった。

フォードのデザインチームが「マスタングDNA」と呼ぶ、マスタングの伝統と個性を演出することを強く意識したエクステリアデザイン。あるいは航空機のそれにインスピレーションを得たというインテリアのフィニッシュ。それに見合うだけの、これもまたマスタング伝統のスポーティーでダイナミックな走りを、「EcoBoost」なる称号までを掲げた直列4気筒エンジンが実現できるのか。そのような先入観が、ステアリングを握ることを躊躇させる。

改めて考えてみれば、ターボによる過給を受ける、この直列4気筒エンジンの314psという最高出力は、先代モデルに搭載されていた3.7リットル仕様のV型6気筒エンジンのそれよりも高性能な数字なのだ。新型マスタングの走りは、その事実を一瞬で知らしめてくれるほどに魅力的なものだった。

アクセルペダルを踏み込むと、この直列4気筒エンジンは、ほとんどターボ・ラグというものを感じさせることなく、あたかも大排気量の自然吸気エンジンであるかのように、スムーズでパワフルなフィーリングを伝えてくる。

組み合わせられる6速ATの動きも素晴らしい。セレクト・シフト・モード=マニュアル・モードを選択すれば、シフトダウン時には自動的にエンジンスピードを合わせてくれる、レブ・マッチング・ダウンシフトの制御も入るから、シフトダウンを繰り返すことが楽しい。ワインディングでは、直列4気筒エンジンを搭載したことによる、いわゆるノーズの軽さを味わいながら、コーナーをクリアしていくことができる。

残念なのは「50 YEARS EDITION」への特別装備のひとつ、「パフォーマンス・パッケージ」を採用したフットワークの動きだ。先代比で28%もの強化が果たされたというねじり剛性。そして独立式リアサスペンションの採用。

コーナリングマシンとしての潜在的な能力は確実に向上しているはずなのだが、19インチ径がチョイスされたタイヤは、低速域ではその重量感がダイレクトに伝わってくるし。路面状況が刻々と変化するワインディングでは、それが結果的にスタビリティにも悪影響を及ぼす場面があった。このパッケージは、やはりサーキット走行などにフォーカスしたものと考えるべきなのか。今後導入される日本仕様では、スタンダードな18インチ径タイヤとの組み合わせを望みたい。

ちなみに新型マスタングの日本仕様は、最終的にはクーペとコンバーチブルの各々に、直列4気筒とV型8気筒のエンジンラインナップが設定されることになるという。コストパフォーマンスの高さは、この新型マスタングのみならず、アメリカン・ブランドのすべてに共通する魅力。市場での競争力は相当に期待できそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

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