【ホンダ ジェイド 試乗】ユーザー視点はどうなっているんだ…岩貞るみこ

試乗記 国産車
ホンダ ジェイド ハイブリッド X
ホンダ ジェイド ハイブリッド X 全 16 枚 拡大写真

すらりとしたデザイン。高さを押さえて機械式駐車場でも使いやすいのに、低床で圧迫感のない広々とした車内。床がフラットで広く、乗り降りもしやすい。運転席に座ったときに前方に広がる、大きなフロントウィンドーと、それによってもたらされる驚くべき開放感。

しかし、褒めるのはここまで。この先は『ジェイド』にケチをつける内容なので、ジェイドを愛してやまない人は読み進まないでいただきたい。

床下をフラットにするため、邪魔になるハイブリッド・システムを運転席と助手席のあいだに設けたことで、前席は圧迫感がある。ウォークスルーは期待しないけど、ミニバンのよさはこの位置にトートバッグを置けることではなかったか。本来、ここにあるべきの小物入れもないし、使いにくいったらありゃしない。

そしてこの不粋なつい立の上にはシフトレバーがあるのだが、その手前にはスポーツモードの「S」スイッチがある。しかし、なぜこの位置なのかまったく理解できない。というのは、車庫入れでシフトレバーを頻繁に操作していると、いつの間にか手首あたりが触れてスイッチを押してしまうのである。え? 私だけ? 開発中はそんなことは一度もなかったんだろうか。疑問。

二列目の二座がV字に動くのは画期的でいいけれど、真ん中にできた隙間は狭くて、そこを通って三列目にアクセスするのは、すごく大変。細いふくらはぎの持ち主でも、女性ならばストッキングがひきずられそうでイヤだし、アクセスを考えたらこの二列目シートのひじかけは不要。なんとかならなかったんだろうか。疑問。

ミッションに採用されたDCTはCVTに比べてアクセルが重い印象。これはいいとして、気に入らないのは急加速のときのへたれ具合。ブレーキを踏んで減速した直後に、加速したいときに反応が悪すぎる。首都高や自動車専用道にある合流車線の短いところで一気に加速したいときなど、あまりのへたれぶりに悶絶しそうだ。さらに、下り坂でLレンジに入れると、耳を疑うくらいのエンジン音がする。音量もさることながら音質が好みでないため、エンジンブレーキを使うのを躊躇するほどだ。

トドメはカーナビ。画面を叩き割りたいくらいの性能である。直線で3kmなのに、有料道路優先に設定してあるがために、10km走らせようとするのってどうよ? 融通がきかないにもほどがある。地図デザインもいまいちだし、ほかの操作性も悪いし、なにがなんだかもうさっぱりである。クルマもカーナビも、新しい技術やコンセプトに挑戦したのは褒めたいけれど、ユーザー視点はどうなっているんだと言いたい。期待して乗り込んだのに、がっかりだよ、ほんとにもう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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