日本エレクトライク、EV3輪モデルを発表…川崎市に新たな自動車会社

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日本エレクトライクの電動3輪自動車『エレクトライク』
日本エレクトライクの電動3輪自動車『エレクトライク』 全 18 枚 拡大写真

東海大学と産学共同で開発を進めてきた日本エレクトライクの電動3輪自動車『エレクトライク』が、6月8日、国土交通省自動車型式認定制度の認定を取得した。これにより、日本エレクトライクは、晴れて新たな自動車会社として出発することになった。

新しく誕生したのは3輪車。昔風に言うならオート3輪である。ただし、その原動機はエンジンではなくモーター。即ちEVだ。

日本レクトライクの代表取締役松波登氏は、初年度生産100台、2016年度には200台の生産を目指すという。そもそもこのエレクトライク、電気を意味するエレクトリックと3輪車を意味するトライクを組み合わせた造語。写真でもわかる通り、その姿はまるで映画「3丁目の夕陽」にでも登場しそうな実に懐かしいスタイルを持ち、その構造も極めてシンプルだ。理由はキャビンとシャシーを含む骨格全体を、インドの2輪メーカー、バジャージ社から提供を受け、これをベースに松波氏のアイデアによって完成された新たなモーターを動力源とするEVに変貌を果たしているからである。

松波氏のアイデアは、3輪車にありがちな不安定な挙動を解消すべく、駆動輪である後輪に左右それぞれ個別のモーターを与え、それをさらに個別に制御するアクティブホイールコントロールを装備することで、転倒の不安を解消し安定したコーナリングを実現したものである。その構造は比較的簡単なものだが、アイデアは現在国際特許を申請中だというから興味深い。

バッテリーは日本製のリチウムイオンバッテリー。その容量によってグレードは2種あり、容量の大きな7.8kwhを搭載するモデルでは航続距離60km、その半分の3.9kwhのバッテリーを搭載するモデルでは30kmの航続距離が確保できる。なお、どちらも最高速度は49km/hに制御されている。ナンバーを取得した場合は250ccクラスのバイクと同等に扱われ、税金は年間2400円。勿論EVだから燃料費はかからず、充電も家庭でのコンセプトからの充電(100V、200V対応)のみとされ、急速充電には対応しない。このため1kmあたりのコストは僅か2円で済むという。

さらにこのエレクトライク、ベースモデルに好みのカーゴスペースを作り上げることができ、積載容量も150kgと集配業務に十分対応できる容量を備えているため、これまで狭い地域で電動自転車による集配を行っていた宅配業者なども、ユーザーとして想定している。

元々2006年に川崎市の起業家大賞を受賞したことで開発が進み、以来川崎市のサポートを受けてきたこともあり、生産も川崎市内で行われる。当面は直販のみで東京・神奈川県を中心に販売される。なお、価格はバッテリーサイズによって160万円、130万円に設定されているが、補助金の恩恵が受けられるため、安いモデルは100万円で購入ができるという。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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