ミシュラン3Rとは、同社のTB(トラック・バス)タイヤが持つロングライフ性能を最大限に引き出すためのソリューションだ。
3Rは、タイヤ自体のロングライフ性能による経費低減「リデュース」、溝が浅くなったタイヤをリグルーブして使う「リユース」、すり減ったタイヤをリトレッドして使う「リサイクル」の三つからなり、ユーザーにはタイヤコストのトータルでの削減効果をアピールする、というのが目下の日本における戦略である。
3Rを普及させるには、前提としてリグルーブ作業とリトレッド作業を安全確実に行う体制作りが重要になる。すでにリグルーブに関しては、各販売店のスタッフがミシュランの研修を受けており、多くのミシュランTBタイヤディーラーで作業が可能になっている。また、リトレッドに関しては、新潟県の高瀬商会に全国一括で委託されており、各販売店からタイヤを送り、それがリトレッドされて戻ってくるという流れが出来ている。
3Rの普及を図る上で、もう一つ重要なのは、各販売店が顧客の車両管理をしっかり行い、顧客やドライバーと信頼関係を築くことだ。これによって適切なタイミングで、リグルーブやリトレッド作業の提案を行うことができる。つまり顧客管理や提案力、サービスの質がこれまで以上に重要になる。
そのため、日本ミシュランタイヤでは、様々な研修やアドバイスを通して販売店をサポートし、基準をクリアした販売店を「ミシュランTBプロフェッショナル(MTP)」に、さらに高い基準をクリアすれば「ミシュランTBプレミアムディーラー(MTPD)」に認定している。現在、国内のMTPは約50店強、MTPDは今回見学した中部タイヤセンターをはじめ10店ほどだという。
日本での課題としては、まだ新品タイヤを使い捨てすることが多く、リグルーブやリトレッドが正しく認知されていないことが挙げられる。リグルーブとリトレッドは欧米では一般的で、すでにワールドスタンダードになっているが、今回取材した中部タイヤセンターの場合でもリグルーブ率は約5%、リトレッド率は約16%。日本市場全体(他社製タイヤを含む)のリトレッド率は約20%に留まっている。
また、他社の国内向けタイヤが使い捨てを前提とした設計であるのに対して、ミシュランのTB用タイヤはリグルーブとリトレッド前提で設計されているため、日本市場ではイニシャルコスト(新品タイヤの値段)の高さが目立ってしまう。新品タイヤの使い捨てより、ミシュラン3Rを導入した方がトータルコストが安く、無駄もないというのがミシュランの主張だ。
ミシュランが3R、特にリグルーブとリトレッドの普及に成功すれば、日本のTBタイヤ市場に大きな変革を迫ることになるだろう。