「いま中国は、日本のアフターマーケット界が爆発したあの頃と一致」テイン市野諮社長

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テインの市野諮社長
テインの市野諮社長 全 7 枚 拡大写真

テインは、中国の江蘇省宿遷市に、「天御減振器制造(江蘇)有限公司」を開設した。7月8日にはオープニングセレモニーが行なわれた。

テインの市野諮社長に、中国工場建設の狙いに加え、テインの今後の展望について伺った。

----:完成した中国工場を見て、どんな感想を抱きましたか。

市野社長(以下敬称略):広いですよね。まだラインが完全にできていなく、抜けている工程もありますが、2番目のライン、3番目のラインと次々と入っていく予定です。工事は、3期、4期まで計画しています。

----:中国工場をつくるにあたって、どのような課題を克服してきたのでしょうか。

市野:思った以上に時間がかかりました。土地もあちこち検討しましたが、国家級の工業団地が南から北京の方まで建設されていたので、なかなか絞り込むのが難しくて。今回の工場地は、税関が敷地内にあるので、保税もできるし、輸出のときもやりやすいという優れた点があります。

----:海外向けに輸出するにあたり、有利な土地であると。2015年度の計画生産本数年間30万本は、国内での生産本数である、年間20万本を越えます。国内と海外の売り上げの比率は今回の工場設立によって大きく変わっていくのでしょうか。

市野:もちろんそうですよ。どんどん変わっていくと思います。現に、ここのところ倍々ゲームです。最初の生産本数は少なく、1000本が2000本、2000本が4000本という具合で、成長比率としては非常に高い。

現在、テイン製品の消費量は日本が最も多く、次が北米、中国という順番になっているのですが、近年中国での売り上げがヨーロッパ全体での売り上げを抜いたのです。今の勢いだと、北米での売り上げを抜くのも時間の問題だと思います。それこそ今の工場が活発に稼動しだして、次々と新しいラインが完成していけば、すぐに中国が売り上げ2位になると思います。

----:日本を抜くのはまだ先ですか。

市野:日本を抜くのはもう少し時間はかかると思いますが、もしかしたら、そう遠い未来ではないかもしれません。

----:中国進出を検討するきっかけは。

市野:中国市場に魅力があるから工場をつくったのですが、為替は今後どうなっていくかわからない。工場投資というのはかなり長期間の投資になりますから、「ただ安いだけ」では失敗するかもしれない。中国での消費は確かなものだし、少なくともアフターマーケットの分野では、中国はすぐに爆発するだろうな、と私は感じています。

なぜそう感じているかというと、日本のアフターマーケット界が爆発していた時代にそっくりだからです。私自身、その時代にモータースポーツをはじめた身でもあります。ちょうどその頃、日本は、中古車が安くなっていました。今、中国は、家庭に1台のファミリーカーを買う程度。しかし、そのファミリーカーが、解体屋さんに並ぶ頃、免許とりたての若い子がアルバイトして車を買えるようになるのです。

その頃僕らもサニーやスターレットなど、ファミリーカーの中古車を買って、「サニーレース」や「スターレットレース」に出場していました。他の催しものを見ても、日本の東京オリンピックや万博をやった時代と、中国の北京オリンピックや万博をやってきている現代。つまり、日本が過去アフターマーケット界が爆発した時代と、中国での現在は、タイミング的にまったく重なっていると思うのです。

----:テイン売り上げの構成比は、どのような変化が見込まれますか。

市野:今、テインの売り上げは55%が日本、45%が海外で構成されていますが、中国工場開設に伴う中国での売り上げ向上で、来年には日本と海外の売り上げ比率が半々になっていくと思います。日本は景気的には回復していますけれど、それはリーマンショック以降いままでが下がりすぎていたところもありますから。

中期的に見たら今後の日本売り上げは減っていくと思います。若い子が減ってますし、免許取得率も下がっています。いずれにしても工業製品業界なので、日本のマーケットを守っていても海外からどんどん製品は入ってきますし、通信販売で製品が家まで届いてしまう時代もきています。いずれマーケットは世界と1つになっていくのですから、それに対応していくことです。若い子は特に価格に敏感ですし、アフターマーケットなので品質第一ですけれど、世界に通用する価格と品質を手に入れなければ生き残っていけない。

----:高い品質を維持しながら、多くの消費者が購入できる価格を設定をしていくということですね。

市野:そうです。でないと、コピーのようなまがいものがどんどん出て行きますから。品質を維持しながら、価格も追及していかなければいけない。

----:今後中国工場以外にも、海外に工場をつくっていく展望はありますか。

市野:あります。中国工場の稼働率が安定してからの話になると思います。今、タイなどは面白いと思っています。東洋のデトロイトとも呼ばれていますよね。というのも、タイに工場を建てたらASEANを行き来できますし。マレーシア、インドネシアなども含めたひとつの市場になりうるかな、と感じています。

《大日方航》

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