【トヨタ シエンタ 試乗】ちょっとオーバーにいえば、フランス車の様な乗り心地…吉田匠

試乗記 国産車
トヨタ シエンタ ハイブリッド
トヨタ シエンタ ハイブリッド 全 16 枚 拡大写真

2週間ほど前の朝刊を見てびっくりした。たしか2見開き半ほどの紙面を使って、黄色い『シエンタ』が大胆な広告を打っていたからだ。

【画像全16枚】

しかもそこにはサッカーのスーパースター、ハメス・ロドリゲスまで登場していて、トヨタのヤル気が伝わってくる。12年ぶりにモデルチェンジしたこの新型シエンタに、東京の湾岸地帯で乗った。

このコンパクトミニバン、全長は4235mmと先代より115mm伸びているが、全幅は1695mmの5ナンバーサイズをキープ。プラットフォームはベストセラーのハイブリッドカー、『アクア』のものを延長して使っている。目につくのはスタイリングだが、ヌメヌメとした面の処理や、ボディに前後に走る刀傷のような切れ目が個性的で、顔つきはちょっと癖がある。

シートは3列で6人乗りと7人乗りがあるが、乗ったのは前者だった。この室内、1列目と2列目は充分なスペースがあり、2列目を比較的前にスライドさせれば3列目にも大人が座れる。でも追突されたときのことを想像すると、後ろにクラッシャブル空間がほとんどないそこに僕は座りたくない。この手の3列シート車は大抵のクルマがそうだが。

パワートレーンは2種類あって、1.5リットルガソリンエンジンと、同じく1.5リットルガソリンベースのハイブリッドで、後者はアクアと基本同じと考えていい。

最初にハイブリッドに乗り、次にガソリンに乗ったが、後者は低回転域のトルクが細い印象で、信号からの発進でスタート直後がややモタつく。その点ハイブリッドは、踏み込むと同時にスイッと加速していくから、ある程度活発な走りを求めるならハイブリッドを選ぶべきだと思う。ガソリンモデルと30万円を超える価格差があるのが辛いところだが、もちろん燃費もよくなるのでハイブリッドが僕のオススメである。

走ってもうひとつ印象的なのは、乗り心地がいいことだった。このクラスの日本車は、サスペンションがあまりストロークしていない感じの薄っぺらい乗り心地のクルマが多いが、シエンタは違った。どちらかというとソフトな脚がしなやかにストロークする感触があって、ちょっとオーバーにいえばフランス車に近い乗り味だと思った。

というわけで、ルックスだけでなく乗り味にも個性がある新型シエンタは、面白いコンパクトミニバンだと思う。少々癖のあるスタイリングが嫌いでなければ、オススメである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆

吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。1989年以来、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。

《吉田匠》

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