フロント2輪、リア1輪のスリーホイーラー。スタンドを払うと、バイクのように自立はしないから感覚的にはスクーターに限りなく近い。跨って左右に振れば車体が左右にスイングされるし、乗車姿勢をとるとタイヤが2つあることを目視できない。
走った感覚も二輪車みたい。寝かし込んでいくときに若干の重さを感じるものの、イン側に切れ込んだり、アウトに膨らむことはなく、むしろ接地感がしっかりあるぶん安心して寝かし込める。フロント2輪をリーンさせるヤマハ独自の「LMW機構」、これは操縦しやすく面白い!
狭い場所でのターンも得意だ。なんせフロントの安定感が抜群で転倒への恐怖心がほとんどないから、思い切って車体を傾けられる。二輪車ではできないほど「エイヤッ!」と車体を目一杯寝かせて小回りさせるのが、慣れてくるにつれ楽しく、「まだいけちゃうのか…!?」と、どんどん過激になってくるから少し注意が必要。
フロント2輪は独立懸架となっているから乗り心地も良く、ギャップに乗り上げてもそれぞれの車輪を支えるフロントフォークが衝撃を吸収し、片輪だけが段差を越えるような状態になってもバランスを崩すことはない。
幅を感じてスリ抜けは無理だろうと思っていたが、意外とスイスイいける。この軽快感はさすが原付2種クラス(125cc)。シティコミューターとしての役割はしっかり果たしてくれそうだ。
タイヤが1つ多いから、走りは鈍くさそうと思うのは早合点。むしろコーナリングが楽しいから、ついつい夢中になって走ってしまうほど。こういったスポーツ感覚を3輪でも楽しませてくれるのは、さすがハンドリングのヤマハ。
3輪ならではのフォルムは見る者の目を惹きつけるが、乗っている本人がイチバン楽しい!!
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。