無重力で骨重が減少するメカニズム、宇宙で飼育したメダカから解明…JAXAなど

宇宙 科学
骨形成と骨吸収が盛んな咽頭歯骨
骨形成と骨吸収が盛んな咽頭歯骨 全 2 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京工業大学大学院生命理工学研究科の工藤明教授らは、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟で2か月間飼育したメダカを分析し、無重力で骨量が減少するメカニズムの一端を世界で初めて明らかにした。

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東工大の工藤教授らは、東京医科歯科大学、JAXAなどとの共同研究で、宇宙で飼育したメダカの骨組織を蛍光解析と組織解析した結果、2か月間の無重力環境の影響として咽頭歯骨の骨量減少が明らかになった。

この原因として、破骨細胞の活性化、特に多核化が進んでいることが分かった。また、ミトコンドリアの形態異常が観察され、ミトコンドリアに関連する2つの遺伝子「fkbp5」と「ddit4」の特異的な発現上昇を明らかにした。

「fkbp5」と「ddit4」はストレスに応答するグルココルチコイドの受容体(GR)の下流で発現する遺伝子で、GRはミトコンドリアで作用することが知られる。

破骨細胞のミトコンドリアの変形と、これら遺伝子発現上昇の相関関係について今後解析するものの、無重力環境におけるミトコンドリア関連遺伝子の発現が、破骨細胞の活性化を引き起こし、骨量減少につながったことが示唆されるとしている。

個体レベルで解析できる生物を用い、宇宙の無重力環境下での破骨細胞活性化、それに伴う骨量減少メカニズムの一端を定量的に示した世界で初めて。世界で初めて宇宙で2カ月間もの長期にわたり魚が飼育できたことに伴う成果であり、今回の研究成果を通じて無重力での骨量減少を解明する新たな手掛かりが得られた。

この成果により、動物モデルが無い老人性骨粗鬆症の原因解明につながることが期待される。

今回論文で発表した長期飼育実験の後、2014年2月に無重力への骨代謝の初期応答を調べる実験を「きぼう」で行っている。これは、今回同様のダブルトランスジェニックメダカを用い、メダカが生きたままの状態で1週間連続で蛍光顕微鏡観察する実験で、無重力下での造骨細胞、破骨細胞の動態をリアルタイムで観察したもの。この結果は現在論文として準備中。

「きぼう」の水棲生物実験装置では、メダカ以外にもゼブラフィッシュを用いた筋萎縮の実験も行われており、宇宙での筋・骨量減少に関する研究を通して、地上での健康維持や高齢化社会への対応に貢献していく。

今回の研究成果は、英国の科学誌ネイチャーの姉妹紙のオンラインジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」で9月21日に公開された。

《レスポンス編集部》

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