東京メトロ株どうなる…太田国交相「早期売却の方針に変わりない」

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太田明宏国土交通相(10月2日・霞ヶ関)
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地下鉄メトロの株式を巡り、改めてなぜ株式を売却して民営化するのかという意義が問われている。

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30日、国の会計検査院は「政府出資株式会社における事業及び財務の状況等について」という報告書を公表した。この中で、東京メトロ(東京地下鉄)について触れ、「4年以上にわたって株式売却に向けての動きは進捗していない状況」と、その遅れを指摘した。

東京メトロの設置根拠法には株式を早期に売却する規定があり、その売却収入は東日本大震災の復興債の償還財源に充てることになっている。ただ、法律の表現は「できる限り速やかに」となっているだけで、売却期限を区切ぎるものではない。

東日本大震災の復興財源に充てることについても、2022年までに得られた売却益を充てるとなっているが、売却できない場合の規定はない。つまり、期限までに売却益が得られない場合は繰り入れる必要がないと読めるものだ。

営団地下鉄から東京メトロとして完全民営化させるために、2010年から財務省、東京都、東京メトロと協議会を設置。株式売却の検討を続けてきたが、これまでに東京メトロ株式売却の議論は進まず、11年2月に終了した。

その後、地下鉄一元化議論は、東京の地下鉄の「サービス」一元化議論へ変容。13年7月には、太田明宏国交相と猪瀬直樹前知事がサービス一元化について話し合いを持ち、継続することで合意した。同省と都は14年1月に中間とりまとめを発表。サービス改善・一体化等の取組課題を具体的に示した。

国交相省都市鉄道政策課は「事務レベルでの話し合いは続いている」といい、東京都側も、これに同意する。

だが、市場競争に任せた経営の中で利用者サービス向上を図るという民営化の原則は、いつの間にか「物言う大株主」主導の利用者サービスに置き換わった。さらに、これも舛添都政の誕生で先行きは見通せない。

太田明宏国交相は10月2日の会見でこう述べた。

「国交省は、これまでも東京都に対して株式売却の早期の働きかけを行ってきたが、引き続いて東京都との調整を図っていきたい」

東京メトロ株は国が53.4%、都が46.6%(9月現在)を保有する。法律が売却を求めても大株主の思惑の前に先行きは不透明なままだ。

《中島みなみ》

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