需要増と安定供給に向けたブリヂストンの“グアユール作戦”…病害リスクに対向

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『グアユール』ゴムを用いたタイヤ技術発表会(東京・茅場町、10月1日)
『グアユール』ゴムを用いたタイヤ技術発表会(東京・茅場町、10月1日) 全 16 枚 拡大写真

ブリヂストンは10月1日、キク科「グアユール」由来の天然ゴムを使用したタイヤを公開。高強力性、耐摩耗性、低燃費性で石油由来の合成ゴムに勝る天然ゴムのなかで、同社はなぜ、主流のパラゴムノキの生産性向上と平行してグアユールの実用化にも着目しているか。

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この日、会場では、同社の執行役員 森田浩一氏、環境戦略企画ユニットリーダー 吉田裕人氏、中央研究所研究第3部 中山敦氏らが「多様化」というワードを繰り返し用いて説明した。

天然ゴム資源がとれるエリアが描かれた資料によると、パラゴムノキが栽培できる地域は、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアや、ガーナなどのアフリカ・ギニア湾岸、ブラジル北東部の一部など、赤道付近の一部エリアに限られる。いっぽうグアユールは、オーストラリア北部やメキシコ北部などの乾燥地域で育つ。

同社は、パラゴムノキの生産性向上と平行し、乾燥地域のグアユールや温帯地域のロシアタンポポなどの資源多様化をすすめていく理由について「病害リスク」を例に挙げていた。

「パラゴムノキのルーツはブラジルだったが、かつての病害によってそのプランテーションはほぼ消滅してしまった。こうしたリスクを想定しながら、人口増加と新興国などの経済発展にともなう自動車保有数増加に対して安定した供給を保つべく、天然ゴム資源の多様化に取り組んでいる」(同社)

しかし、グアユールは、パラゴムノキからゴムをつくり出すよりも手間もコストもかかる。植物体から粉砕・抽出・木質除去・分離を経て天然ゴムと樹脂に分けられ、回収・リサイクルの循環もつくらなければならない。

こうした“壁”を越えられた理由について同社は「バイオ研究、材料・ポリマー・配合技術など、ブリヂストンの関連技術を結集して、一貫したサプライチェーンを持つことによって試作タイヤが実現できた」という。同社は、グアユール由来天然ゴムの研究開発の規模拡大について2016年末に判断し、2020年代前半には実用化にこぎつける構えだ。

《レスポンス編集部》

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