【トヨタ プリウス プロトタイプ 海外試乗】低重心をしっかり実感、動力性能には物足りなさも…河村康彦

試乗記 国産車
トヨタ プリウス プロトタイプ(北米仕様)
トヨタ プリウス プロトタイプ(北米仕様) 全 8 枚 拡大写真

富士スピードウェイの構内路とショートサーキットを使用して、ごく短時間の限定された条件内での“プロトタイプ試乗会”が開催された新型『プリウス』。そんなこのモデルで、今度はカリフォルニアの公道上をテストドライブすることが出来た。

用意された車両は左ハンドルのアメリカ仕様。「プリプロダクション・モデルで、仕上げが量産レベルとは異なる可能性アリ」と注釈のついたやはりいわゆる“プロトタイプもの”だったが、走行場所や時間の制限はナシ。かくして、市街地から郊外路、さらには山岳ワインディングロードにまで脚を伸ばして、ようやくインプレをお届けするのに十分なチェックを行うことが出来た。

「アメリカ仕様」とは言っても、基本的なスペックは日本仕様同様。ただし、今回のテスト車は“アメリカの常識”であるM+S(マッド&スノー)の刻印が与えられた、ヨコハマ・ブルーアースS34のP215/45R17サイズ・タイヤを装着していた。

走り始めてまず印象深かったのは、外部ノイズからの遮断性が高く、話題の新骨格構造「TNGA」を採用するボディが「従来型よりもはるかに強靭」というテイスト。特に、多数の車線を同方向へと向かう車両と延々並走し、コンクリート製フリーウェイ特有の路面段差が続く場面などで、そうした印象を痛感させられた。

ピッチング挙動が見事に封じ込まれた高いボディコントロール性や、ライントレース性が明らかに従来型より優れているあたりにも、「クルマとしての基本性能が高まった」という印象を強く受けた。コーナリング・シーンでロールが抑制され、低重心テイストをしっかり実感出来るあたりには、駆動用バッテリーの床下配置や全高の低減など、基本レイアウトの変更が寄与をしているに違いない。

一方、従来型を大幅にリファインした上で再搭載したハイブリッド・システムが生み出す動力性能は、アメリカ特有の開けた風景の中では、スピード感が薄いゆえ、時に「エンジン音のみが高まって実際の加速力が付いてこない」という例の物足りなさを感じる場面も。前車との詰まった車間を調整すべくより強い回生ブレーキ力が欲しい場合、インパネ側に移動をしたシフトセレクターがちょっと遠いと感じるシーンも存在した。

すでにいくつかの電動化車両が採用しているように、回生ブレーキ力を選択するためのパドル装着をそろそろ検討しても良い時期では?…と、そんな印象も抱いたアメリカでの新型プリウスのテストドライブだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。

《河村康彦》

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