【フォード フォーカス 試乗】デザインDNAを担い、新世代に広げる重要な存在…千葉匠

試乗記 輸入車
フォード フォーカス Sport+ Ecoboost
フォード フォーカス Sport+ Ecoboost 全 8 枚 拡大写真

「踏んだだけ加速する」「切っただけ曲がる」という誠実な運転感覚は欧州系フォード車の伝統だ。1.5リットルのダウンサイジングターボを得た新型『フォーカス』も例外ではない。低回転域からでもリニアに加速してくれるし、ステアリングを握る掌に路面を感じながらコーナリングできる。さすがに『フィエスタ』ほどの軽快感はないけれど、フォーカスの落ち着いた身のこなしはむしろフォードらしい美点だとも思う。

【画像全8枚】

試乗を終え、あらためてその外観を見て考えた。フォーカスこそが「フォード一家の嫡男ではないか?」。外観の最大の変更点はフロントマスクだ。従来型はバンパーの低い位置に大きな台形のグリルを構えていたが、フィエスタと同様に、それを持ち上げた。これが新世代の「フォード顔」。しかし注目したいのは、そこではない。

リヤフェンダーの肩口を見てほしい。ドアハンドルの上からリヤコンビランプへ、盛り上がったラインがある。英語圏のカーデザイン用語で「ハンチライン」と呼ばれるラインだ。「ハンチ」とは動物の尻ないしは後脚。後輪の存在感や力強さを表現するために、50年代から使われてきた手法である。

フォーカスでは従来型からあったハンチラインだが、実はそれが現行フォード車の多くに採用されている。SUVの『エコスポーツ』や『クーガ』からスポーツカーの『マスタング』まで、日本には未導入の『モンデオ』(セダン)や『エッジ』(SUV)、『S-MAX』(ミニバン)も含めて、表現の強さに差はあれどもハンチラインを入れているのだ。

フォードは2011年に発表した北米向けセダンの『フュージョン』(モンデオの姉妹車)から、「ワン・フォード・デザイン・DNA」と呼ぶデザイン方針を掲げて、仕向地を問わずグローバルに一貫したデザインを展開している。新世代「フォード顔」の台形グリルはそのひとつ。もうひとつの大事な要素がハンチラインだ。

従来型フォーカスは「ワン・フォード・デザイン・DNA」より前に、欧州フォードが「キネティック・デザイン」を標榜していた時代に開発されたもの。しかし、そこにあったハンチラインは新世代のフォード各車にDNAとして受け継がれた。それほどフォーカスは、フォードにとって大事な車種ということだ。

フォードらしい誠実な運転感覚だけでなく、デザイン面でもフォードのDNAを代表し、それを新世代に広げていく役割を持つのがフォーカスというクルマ。まさに「フォードの嫡男」と言ってよいと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーランスのデザイン ジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 民事再生中のEVモーターズ・ジャパン、EVバス事業をイクヨに譲渡
  2. トヨタ『カローラスポーツ』、日本にない2.0リットルエンジン搭載…米国2027年型
  3. フィアット『トポリーノ』に「Vilebrequin」、地中海沿岸のライフスタイルを表現
  4. 日産『テラノ』復活、PHEVの本格SUV誕生へ!…次期パジェロと兄弟車か?
  5. 「これ市販車なんだよな…」トヨタの新型スーパーカー『GR GT』に再び脚光! 欧州公開で日本のファンも「乗ってみたい」と注目
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 自動運転開発の分野で高まるNVIDIAとAWSの存在感、日本メーカーは中国のスピード感に対抗できるのか【AWS オートモーティブ AI イノベーション フォーラム】
  2. KYB、パワースポーツ車両向けEPSを米ポラリス社のオフロードビークルに展開
  3. BYD12万人の技術力と日本市場への本気度、補助金逆風下「ラッコ」の戦略とは…BYD Auto Japan 東福寺厚樹 代表取締役社長[インタビュー]
  4. 機械式駐車場の最適化コンサル、マンション管理組合向けに新サービス開始…さくら事務所
  5. 大和ハウスベンチャーズ、自動運転幹線輸送のT2に出資…レベル4実現へ
ランキングをもっと見る