【ホンダ オデッセイハイブリッド 試乗】尖った乗り心地のアブソルートとはもう言わせない…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ オデッセイハイブリッドアブソルート
ホンダ オデッセイハイブリッドアブソルート 全 16 枚 拡大写真

2013年10月に登場した、新たに両側スライドドアを備えた5代目『オデッセイ』。

【画像全16枚】

スポーティーグレードと言うべき「アブソルート」は、その時点で歴代オデッセイ 最大の保有台数を誇る、もっとも尖(とが)った仕様の3代目に設定されたもの。低全高、低床、低重心パッケージを生かし、まるでスポーツワゴンのような硬めの乗り心地、スポーティな操縦性を持つ異例に硬派な走りのミニバンに仕立てられていたのだった。

とはいえ、「ミニバンでそんなにハードな乗り心地でいいの?」という疑問もあったのか、現行モデルでは2015年1月の改良でほんのわずかとはいえ、足回りを乗り心地方向に再チューニング。多少、しなやかになったのだが、それでも路面によっては上下動をくり返す男前な乗り味のままだった。開発陣にしてみれば「それでいいのだ」なのである。

しかし、待望のハイブリッドモデルが加わった今(合わせてホンダセンシングも選択可能 )、最初に断言すれば、ハイブリッドアブソルートは乗り心地重視のファミリーユーザーも納得満足できる、環境にも優しいミニバンへと進化を遂げたのだ。

オデッセイに新採用されたハイブリッドシステムは、『アコード』用の2モーターのスポーツハイブリッド「iMMD」を小型化・高出力化しコストダウンを計ったもの。2リットルエン ジンは145ps、17.8kg-m。モーターは何と184ps、32.1kg-mという アコードの143ps、16.8kg-m/169ps、31.3kg-mを凌(しの)ぐエンジン& モーターパワーとなっている(今後、アコードにもこのスペックが採用されるはずだ)。

リチウムイオンバッテリーは、海外仕様ではスペアタイヤが置かれる1列目席中央床下スペースに置かれ、その部分のみフロアが10cmほど高くなっているが、1列目席のサイドスルー、1-2列目席スルーにほぼ影響なし。もちろん、後席、 ラゲッジへの影響も一切なし。広さ、使い勝手そのままに実現したハイブリッドモデルというわけだ(偉い)。

しかもモード燃費は最高26.0km/リットルと、ガソリン車の倍近い数値なのだからびっくりだ。ライバルの2.4リットルエンジン+2モーターのエスティマハイブリッドは18.0km/リットルなのである。

走りだしは静かに滑らかにEV走行。そこからアクセルを踏み込めば強力なモータートルクのアシストもあり、実に滑らかでトルキーかつシームレスな加速を開始する。中間加速でのアクセル操作に対するレスポンスも文句なし。まるで右足とモーター& エンジンが直結しているかのようだ。

が、最大の驚きは乗り心地。床下に配置されたリチウムイオンバッテリー&制御用ECUで構成されるIPUによる一層の低重心、およびハイブリッドシステム全体で約 80kgの重量増から、低中速粋ではガソリン車のアブソルートとは別物のゴツゴツ感などまるで感じさせないストローク感あるしっかりしなやか乗り心地を示してくれるのだ!感覚的には高級サルーン並みの乗り味である。

ちなみに17インチタイヤを履くハイブリッドアブソルートのサスペンションは基本的にガソリン車のアブソルートと同一。車重差分、手を入れているだけだという。

ただし、荒れた路面の高速道路を走行中(60~80km/h)にきつい段差を乗り越えるようなシーンでは、重量増がもたらすサスペンションストロークのゆったりした動きが限界を超え、それなりのショックを伴う場面もあるにはあるが、一般的な良路ではまず顔を出さないので安心していただきたい。

オデッセイハイブリッドはもちろん街乗りを中心にモーター走行、つまりEV走行するシーンも当然あるわけで(最大約110km/h 、連続3~4km以下)、エンジン主体の走りやエンジンを回したときを含む全体的な静粛性でガソリン車を上回るのは当然。動力源が静かになった分、高速走行時に風切り音やロードノイズが目立つのは致し方ないところだろう。

幕張メッセ周辺の一般道、高速湾岸線を30分ほど走ったときの実燃費は19km/リットル+程度。開発陣による、ハイブリッド燃費に有利な市街地だけなら20km/リットルは越えるという話は信じて本当のようだ。このサイズの両側スライドドアを備えたミニバンとしては驚異的である!!

ただし、悩ましいことがひとつある。ハイブリッドのEXグレードを選ぶと1列目左右席間 に新設定の大型センターコンソールボックスと大型アームレストが装着され、 CDやDVDを収納するのに便利とはいえ、サイドスルー、1-2列目席スルーがやや面倒になる。また、10cm高まったとはいえ、依然ハンドバッグやトートバッグが置きやすい1列目左右席間フロアスペースがなくなったしまうのだ。

では、EXグレード以外にすればすべてが解決するかと言えば、オデッセイとして待望のHV専用装備である100V/1500Wコンセント(大型センターコンソールボックス後端の1か所)が選べなくなる…。

この点に関しては、ハイブリッド全グレードに100V/1500Wコンセントを装備してほし い!! と声を大にして言っておきたい。エスティマハイブリッドは全グレードに2か所、装備されているのだから。

今回は1列目席のみの試乗だったが、気になるハイブリッドアブソルートの後席インプレッションについては、あらためて報告したい。

そうそう、買いは間違いなくアブソルートだ(2月中旬時点で販売比率約9割がアブソルート)。エクステリアは標準車でもハイブリッドはエアロ仕様になるものの、アブソルートは10mmのローダウンで佇まいはより精悍。黒のみのインテリアも同様で、シート地までもがグッと高級上質になる。さらにアブソルートはホンダセンシングを標準装備し、それで標準車との価格差は実質10~20万円でしかないのだから。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
静粛性:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門 誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以 上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動 車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・ オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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