自動車の電動化が進む中で、BEVやPHEVの魅力を支える、これからの価値向上に向けた論点について、KPMGコンサルティング プリンシパルの轟木光氏に聞いた。
轟木氏は8月27日に開催予定のオンラインセミナー「BEV一本槍の終焉、その次にくる論点~電動車は誰が最後まで面倒を見るのか~」に登壇し、このテーマを取り上げる予定だ。
車両の長寿命化
インタビューはまず、各国・地域の乗用車の平均車齢の話から始まった。KPMGコンサルティング プリンシパルの轟木光氏によれば、日本・米国・欧州のどの地域でも、平均車齢はだんだんと延びている傾向にあるという。

これは、自動車の品質や耐久性が上がっている証拠とも言えるが、新車価格が上がり続けていることも背景にありそうだ。法規制対応やSDV・自動運転機能の追加、資材価格の高騰、インフレ、人件費の上昇など、複数の要因が重なっているという。
日本国内においても平均車齢は少しずつ延びており、約9年となっている。轟木氏は、そのような傾向について、「日本の税制では、登録から13年を超えると自動車税が上がる仕組みになっており、平均車齢が増加していることは即ち、長く乗り続けたいユーザーが増えているとも言え、政策の見直しが必要となる可能性があるのではないか」と課題を示す。
BEVの魅力を支える、これからの価値向上に向けた論点
轟木氏は、BEVが持つ魅力をさらに高め、安心して長く使える存在にしていくためには、今後整理すべきいくつかの重要な論点があると指摘する。
BEVの魅力とは、まず走行時に排出ガスを出さないことによるカーボンニュートラルへの貢献、段付きのない滑らかな加速や静かさ、重心の低さなど走行性能、そしてSDVとの相性の良さ、などが挙げられる。さらに自宅充電の安さやオイル交換が不要な点など、TCO(総保有コスト)面の良さもBEVの魅力と言えるだろう。
だが、轟木氏が本題として言及するのは、さらなる価値向上に向けた論点である。まず第一には電池の劣化の問題だ。「下取りや売却の際、電池の状態がその車両の価値を左右します。場合によっては交換が必要になり、その交換費用はかなりの高額になってしまう可能性があります」
第二に通信インフラの問題である。現在は4Gが主流で、5Gへの導入が進む一方、3Gは各国で順次サービスが終了している。轟木氏は「停波だけでなく、車が外部と通信するためのTCU(通信制御ユニット)の交換および供給期限という問題があり、メーカーによっては、通信インフラの終了によりコネクテッドサービス自体を終了するというケースが出ています」と指摘した。
第三は半導体の供給問題である。車載半導体は、電池やモーター、インバーターだけでなく、車のあらゆる機器に組み込まれているが、轟木氏は「車載半導体は、半導体自体のセキュリティ耐性をあげていくため、5年程度で世代が変わってしまいます。しかしながら車は10年以上の使用が当たり前の状況であり、そのライフサイクルの途中で半導体のセキュリティ耐性をあげるために、場合によっては交換も選択肢になってくるのですが、必ずしも車載半導体は交換できるとは限らない状況です」とその難しさを指摘する。

![電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]](/imgs/thumb_h2/2231396.jpg)

