思い思いのやり方で魅力を満喫できるクラリオン『Full Digital Sound』…その2 “汎用性&発展性”

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クラリオン・Full Digital Sound「Z7」 フルデジタルスピーカー
クラリオン・Full Digital Sound「Z7」 フルデジタルスピーカー 全 9 枚 拡大写真

4月下旬の発売開始に向けて、クラリオン『Full Digital Sound』に対する巷の注目度は上昇一途だ。当サイトではそれ踏まえ、この利点と可能性を徹底的に検証せんと試みている。連載は計4回。第2回目となる当回は、“汎用性&発展性”について深掘りする。

前回同様、『Full Digital Sound』の開発に携わった、クラリオン 技術開発本部 コア技術開発部 音響システムGに所属する5名のエンジニアの方々、岩崎 豊さん、石川貴夫さん、坂根圭太さん、武藤 慧さん、中島文彬さんにお訊きしたお話を、じっくりとお伝えしていきたい。

■搭載車種を選ばず、接続可能なソースユニットも多彩。

まずは、“汎用性”についてお訊きした。『Full Digital Sound』は、ソースユニットをシステム内に持っていない。このことも特長の1つであるのだが、これにより高い“汎用性”が実現されているという。その心は…。

岩崎「純正オーディオが外せないクルマであっても、『Full Digital Sound』の構築を可能としたかったのです」

石川「ソースユニットをシステムに含めない代わりに、どのような機器でも接続可能にしています。純正オーディオの接続用にスピーカーレベルインプットを1系統用意し、RCA入力も1系統備え、RCA出力を持っているナビやオーディオメインユニットの接続も可能です」

坂根「その上で、光、コアキシャル、USBとデジタル入力を3系統備えています。ハイレゾ対応のオーディオプレーヤーを再生することも可能です。USBでは、スマートフォンにハイレゾに対応したアプリを入れていただくことで、ハイレゾ音源をデジタルで取り込むことも可能となります」

武藤「ソースユニットの切り替えは、フルデジタルサウンドプロセッサー『Z3』のコマンダーで行えます。デジタルソースユニットは最大3種類、接続したままで大丈夫です」

中島「ちなみに、先の『東京オートサロン2016』、『大阪オートメッセ2016』それぞれで、AV一体型カーナビの2016年モデルを参考出品していたのですが、それにはデジタル出力が備えられています。ナビをメインユニットとして『Full Digital Sound』システムを構築されたい方には、クラリオン・カーナビのニューモデルをお使いいただけたらうれしいですね」

さすがは“未来形”カーオーディオ・システムであるクラリオン『Full Digital Sound』。搭載する車種を選ぶことなく、かつ、ソースユニットも多彩に使用可能。思い思いのやり方で、当システムの良さを満喫することができるのだ。

■1系統備えられている“RCA出力”を、どう使いこなすか…。

ところで、“フルデジタル”をキーワードとする当システムなのだが、出力においても1系統、通常のRCA出力が備えられている。これがどのような意味を持っているのかと言うと…。

武藤「RCA出力においても、他の出力と同様のコントロールが可能です。クロスオーバーに関しては、ハイパス、ローパスともに設定できますし、タイムアライメント、イコライザーについても、他chと同じように扱えます。使用している部品も24bitのハイエンドDACで構成しています。ですので、パワーアンプ+ミッドレンジスピーカーを接続して、フロント3ウェイシステムを組んでも楽しめると思います。また『Full Digital Sound』のサブウーファーを敢えて使わずに、サブウーファーのみをアナログシステムとしていただいても構いません」

岩崎「DSP上でのスピーカー選択では、RCA出力は“リアスピーカーもしくはサブウーファー”となっているのですが、ご自由にお使いいただきたいですね。もちろん、リアスピーカーを鳴らしていただいてもOKです」

RCA出力は1系統のみではあるが、この1系統は、『Full Digital Sound』において面白い存在となりそうだ。当chを有効活用して自分だけの個性的なシステムを構築する、なんていう楽しみ方もアリなのだ。

ところで、資料をよくよく見返すと、システム図に記入されているミッドウーファーのスピーカーケーブルに、“純正スピーカーケーブル”というただし書きが記されている。“先進”かつ“特別”なシステムというイメージが強い中で、ケーブルが純正のままであることに、少々の戸惑いを禁じ得ない。

石川「当システムは、スピーカーケーブルとして純正ハーネスを活用する仕様となっているんです。カーオーディオでは、ケーブルの引き回しは結構大変な作業ですよね。どのようなケーブルを使うか、ここもこだわりのポイントですから引き回しが大変なのも致し方ないのですが、『Full Digital Sound』では合理性を重んじました。外部アンプが組み込まれているシステムでなければ、純正ハーネスをそのまま使用することも可能です。各所の最適化を図り、それを可能としています」

坂根「どのようなケーブルであっても、伝送クオリティに大きな差がでないことも、フルデジタルであることのメリットなんです。音質に影響が出るとしたら、“ジッター”(時間軸の揺らぎ)が発生することでしょうけれど、スピーカーに積まれている“LSI”にはVCXOが搭載されていて、仮に“ジッター”が発生したとしても、その影響を受けません。よって、純正ケーブルのままでも、音質が落ちる心配がないんです」

こんなところにも『Full Digital Sound』ならでは“新しさ”があったとは…。当テクノロジーの懐の深さを再認識した。

中島「取り付けに関したことで、もう1つ、お伝えしておきたいことがあります。当システムのミッドウーファーは、LとRが専用モデルとなっているんですね。ミッドウーファー帯域については、スピーカーまでステレオ信号が流れているんです。スピーカーに積まれている“LSI”がそれを選別し、L用スピーカーはL信号だけを、R用スピーカーはR信号だけを取り込みます。取り付け時には左右を間違わないよう、くれぐれもご注意いください」

スピーカーに繋げられているケーブルの色で左右を見分けられるとのことだ。間違ってしまっても、調整の際にすぐに気付くだろうし、その時は着け替えれば良いのだが、余計な手間は発生しないほうが良い。左右の確認は慎重に行いたい。

今週の記事は、ここまでとさせていただく。クラリオン『Full Digital Sound』。訊けば訊くほど個性が引き立ち、興味が湧き、愛着も増していく…。

さて次回は、当機のサウンドチューニング能力について深掘りしていきたいと思う。ここにも先進性が多々盛り込まれている。『Full Digital Sound』の魅力を、さらに明らかにしていこう。

ますます話題沸騰中のクラリオン『Full Digital Sound』。その利点と可能性を徹底検証! Part.2 “汎用性&発展性”

《太田祥三》

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