気象庁は17日会見を開き、熊本県熊本地方の地震に注意を呼びかけた。「今後1週間程度は震度6弱の余震に注意してほしい」(青木元地震津波監視課長)という。
非常に大きな地震の後に余震に注意すべきという警告は、これまでもあったが、今回は少し様子が違う。この「1週間程度は」という期限には、これまでの地震であればという見えない但し書きがついている。青木氏はいう。
「ふだんと違う地震活動なので、いつまで(注意すればいい)と言い切るのは難しい。単純な本震余震活動だとしても1週間程度は続くので、少なくとも同程度の警戒が必要だ」。
本震より大きな余震は起きない。それが地震観測の経験則だった。16日01時25分に発生した熊本地震は、地震のエネルギーを示すマグニチュードでも、揺れの大きさを示す最大震度でも14日の最初の揺れを上回った。14日21時26分以降に発生した震度6以上の揺れは7回もある。
一連の地震の回数(余震)も過去にない発生を重ねている。震度1以上の体に感じる地震は14日~17日10時までに410回(速報値)。それ以後も震度3、震度4の地震が連続する。内陸と沿岸で発生した地震のM3.5以上の余震回数は、14日の発生時点では04年の新潟中越地震を超えて最多だった(95年以降の観測)。それがこの3日間で熊本地震がその数を上回った。
今やどれが本震で、どれを余震と呼ぶかは一連の地震活動が落ち着かないとわからない状態。14日と15日の地震を一連の地震とすべきかどうかも含めて「熊本地震」という命名自体を考え直さなければならないほどだ。
「全体的な傾向を見てみないと、名前も付けられない。まだまだこれから。現時点では最初に発生したM6.5の地震で、そこから変えていない。16日01時が7.3が最大なので、それが本震といえるが、特殊なので、前震、本震、余震という形でなく、同じような規模で続いて発生した場合は、本震、余震型といえなくなるので、今後の様子をみたい」(青木氏)。
さらに、14日の発生から震源地の分布にも変化が現れた。「16日と少し違うのは、これまで地震活動があまり見られなかった南側で、やや小さい地震活動がみえている。八代市で最大マグニチュード4.5(16日09時16分頃)。まだ大きいものではないが、16日01時の地震が影響して、同日の午後ぐらいからだんだん増えている」(青木氏)。
今後、地震の発生はどう変化するのか。青木氏は特定の場所を上げて明言することを避けた。「地震による断層全体は50kmぐらい延びている。ピンポイントで町名を決めることは、(他は安心という)逆の誤解を与えることがある。熊本県熊本地方を中心として地震活動は続いている。注意が必要だ」。
熊本地震の震度6弱以上の発生状況
発生時刻 震央地名 マグニチュード 最大震度
4月14日 21時26分 熊本県熊本地方 6.5 7
4月14日 22時07分 熊本県熊本地方 5.8 6弱
4月15日 00時03分 熊本県熊本地方 6.4 6強
4月16日 01時25分 熊本県熊本地方 7.3 6強
4月16日 01時46分 熊本県熊本地方 6.0 6弱
4月16日 03時55分 熊本県阿蘇地方 5.8 6強
4月16日 09時48分 熊本県熊本地方 5.4 6弱