【国際ドローン展16】ハイブリッドドローンが切り開く近未来の輸送手段…TEAD

航空 テクノロジー
TEADのハイブリッド・ドローン、ハイドロX。中央にエンジンと発電機を搭載。翼のように見える部分はフレームで、揚力は発生しないそうだ。
TEADのハイブリッド・ドローン、ハイドロX。中央にエンジンと発電機を搭載。翼のように見える部分はフレームで、揚力は発生しないそうだ。 全 3 枚 拡大写真
国際ドローン展も今回で2回目とあって、かなり充実した印象となった感がある。機体以外にも、撮影や計測、点検などの利用法まで含めたソリューションを提案するブースが目に付く。しかし取材が目的のせいだろうか、我々の視覚を刺激するのは、やはり新型機である。

米国でのアマゾンに続いて楽天もドローンでの宅配を開始する(といっても楽天はゴルフ場内に限ってのことだが)と発表し、ドローンによる輸送が始まろうとしている。そんな風に輸送手段としてのドローンを追求していくと、ヘリコプターと同様、移動速度や行動半径の問題が生じてくる。

揚力をローターによって確保し、車体の傾きによって飛行するため、速度を高めるのが難しい。ジェットヘリなど別の推進力を得ることで、高速移動体としての能力を高めるのが解決策か。千葉大から生まれたベンチャー、自律制御システム研究所のVTOLドローンも後方に推進用のプロペラを備え、最高速度150km/hを目指していると言う。

それ以上にユニークな試作機をお披露目したのがTEADだった。「ハイドロX」と名付けられたそれは、優雅なモーターグライダーを双胴型にしたような、近未来的なフォルムが美しい。しかもメカニズムも斬新だ。長時間の飛行を実現するために、エンジンと発電機を搭載し、発電した電力でローターを回すモーターを駆動する。しかも推進用のプロペラを備えており、長距離移動の効率も追求している。

その上、エンジンがユニークだ。クランク軸を両側に配置し、中心に燃焼室を置く対向ピストン型エンジンを採用している。このレイアウトは戦後のバスにディーゼルエンジンとして採用されたことはあったが、実際にお目にかかるのは初めてだ。

TEADのスタッフによれば、このエンジンのメリットは理論振動がゼロというだけでなく、実際にもエンジンの上にコインを立てられるほど、振動がないことだとか。振動が無いのは、機体を軽く作る上で、非常に大きな武器になるそうだ。エンジン自体はこのデザインで工業用エンジンを開発した経験のあるエンジニアが開発したと言う。この開発計画自体はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発プロジェクトの一環だそうだ。

この機体はデザインスタディで、あくまで一つの提案でしかないらしい。飛行実験はこれからだが揚力は相当に強く、積載重量は5kgとなっていたが、揚力としては50kgくらいまでは楽々持ち上げられるそうだ。

同社ではRC飛行機とドローンを合体させてVTOLとした試作機も展示。こちらは離着陸時のみマルチコプターを使い、飛行中は前端のプロペラと主翼による揚力で飛行する。エンジンなので飛行時間が長く、速度も速い。単なるRCプレーンと比べ、滑走路がまったく要らないのも強みだ。

《高根英幸》

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