【ボルボ XC90 T8 試乗】初のハイブリッドボルボ、将来への“魁”の一台…中村孝仁

試乗記 輸入車
ボルボ XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription
ボルボ XC90 T8 Twin Engine AWD Inscription 全 16 枚 拡大写真

ボルボは、電動化車両(PHV、EV)を2025年までに累計100万台販売するという目標を掲げた。今回の『XC90 T8』は、まさにその魁である。

【画像全16枚】

正直、この目標はかなり大胆だと思う。あと9年。そうはいっても年間販売台数は昨年ようやく50万台を超えたばかり。年間で電動化車両の販売が全体の20%だとしても目標は達成できない数値。ということは、ボルボは今後、相当な勢いでPHVやEVを遡及していくということになる。

で、新しいT8である。メカニズム的に特に新しいことをやっているというわけではない。モーターは基本的にリアに一つ。実はフロントのエンジンとトランスミッションの間にもひとつ持っているのだが、こちらは基本、スターターとジェネレーターの役割を果たすもので、メーカー的には2モーターとは言わないそうだ。ただし、全く駆動用には使われていないかというと、最後のひと絞りのブーストにはこのモーターも使われるという。

バッテリーはリチウムイオンで9.2kwhの容量。そしてリアモーターは87ps、240Nmで、リアを駆動する。ただし、いわゆる“e4駆”ではなく、必要に応じてリアは適宜駆動される。

ドライブモードは4種。ピュア、ハイブリッド、セーブ、AWDの4種で、簡単に説明するとピュアはEVモードだから基本はRWD。ハイブリッドはデフォルトモードで、文字通りエンジンとモーターを最適に使用しながら走る。そしてセーブモードはどちらかと言えばエンジン優先モード。ただし、他メーカーのいうチャージモードのように、充電専用モードというわけではない。ボルボではセーブモードによって得られれる充電量は30%ほどだそうだから、やはり家に帰ると充電が必要となる。最後のAWDはトラクションを最大に得たい時に使うモードで、常に四輪駆動走行となる。

車重はズバリ200kgほど重い。このために標準サスペンションの場合は樹脂製リーフスプリングが3mm厚くなり、モノチューブの強化型ダンパーが与えられる。フロントのスプリングも強化される。ただし、今回の試乗車は前回「T6」を試乗した時と同じ、オプションのエアサス仕様であるためこの限りではない。また、ブレーキも大型ローターを使うなど強化される。T6を試乗した時に感じられたサスペンションの突き上げ感は、さすがに200kgも重くなったためか、さほど気になるレベルではなくなったものの、依然としてフラット感には乏しく、まだエアサスの躾けはうまくいっていない印象を受けた。

ハイブリッドのシステム自体はこれといった不満はない。回生が入るブレーキのフィーリングが、ガソリン仕様とは若干異なるものの、違和感を感じるほどのレベルではない。今回はエンジンの始動にモーターが使われる関係で、発進停止のスムーズさは抜群。このあたりはハイブリッドの持ち味を最大限活かしている。また、高速への流入などでフルパワーをかけた時の加速の気持ちよさもハイブリッドならでは。

残念ながら燃費については未知数だが、JC08モードで15.3km/リットルだという。日本メーカーのように敢えて燃費モード用のクルマを作り上げているわけではないから、この数値はかなり現実的。ただし、測定時にはエアコンが使われないから、そうした部分は差っ引いて考える必要がある。内外装はほとんどガソリン仕様と大差ないが、シフトレバーがスウェーデンのクリスタルガラスメーカー、オレフォス社のクリスタルガラスを使用したもので、こいつは中々美しい。

満を持して投入したボルボにとっては初となるPHV。100万台達成に向けて今後続々とPHVが登場しそうなボルボ。2019年にはピュアEVも出すそうである。初物としてはその出来はかなり良いと言って間違いないと思う。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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