2015年はグループ全体での国内販売台数が586万台を超え、首位の座を獲得した上海汽車集団(SAIC)。その勢いそのままに、北京モーターショーでもグループ内の各ブランドが積極的なアピールをおこなった。
上海汽車のプレミアムブランド「栄威」(ROEWE)のブースの主役は、新型SUVの『RX5』。このミドルクラスSUVは、上海汽車が開発したSUV向けモジュラー・アーキテクチャー「SSV」を採用した初の車種となる。
また同時に、アリババ・グループと共同で開発した世界初の「量産インターネットカー」としても紹介された。アリババの独自OS「YunOS」を搭載し、ドライバーの運転操作の補助やエンターテインメント、スマートフォンとの連携など幅広い分野のサービスを提供するという。ただしショー会場では、RX5のインテリアは公開されなかった。
さらに、RX5は新しい栄威ブランドのデザイン言語、「律動」(リズム)を採用した最初の市販車でもある。このテーマは昨年の広州モーターショーで初公開したコンセプトカー『VISION-R』ではじめて示されたもので、今回もこの大型クーペコンセプトが展示され、注目を集めていた。RX5は排気量1.5~2リットルの、複数のガソリンエンジンを搭載して年内に発売されることになっている。また来年以降にプラグインハイブリッドや純電動の仕様も追加される予定。
SAICは他のブランドでも、コンセプトカーや新型車を積極的に公開。GM、広西汽車集団と合弁で設立した上汽通用五菱汽車では、「宝駿」(BAOJUN)ブランドの新型コンパクトカー『310』を公開。シボレー『セイル』をベースにして開発されたエントリーモデルだ。
また「大通」(MAXUS)ブランドで商用バンや法人向けMPVを手がける上汽大通汽車では、次世代フルサイズMPVのコンセプト『D90』を初公開。SUV感覚を兼ね備えたデザインを採用し、顧客層の拡大を狙う。
さらに「依維柯」(IVECO)ブランドの商用車を生産する南京依維柯汽車では、デリバリーバンのコンセプト『VISION』を公開。都市部でのデリバリー業務に焦点を当てたデザインで、運転席や車体後部から荷室へのアクセスを容易にするデザインが提案されている。
後部のハッチは上下に分割され、狭い空間での開閉を可能にすると同時に、下部はステップとして使える。荷室床面が後方にスライドできるのも業務効率の向上に貢献している。