物理キーは予備として保管、スマートフォンを仮想キー化する…コンチネンタル

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コンチネンタルが手掛けたキーの数々
コンチネンタルが手掛けたキーの数々 全 11 枚 拡大写真

12日、コンチネンタルは次世代のカーエントリーシステムに関するプレゼンテーションを行った。いよいよスマートフォンを車のキーの代わりにできる技術が市販車レベルで市場に投入されそうだ。

アンドレアス・ヴォルフ氏(コンチネンタル ボディ&セキュリティ事業部 エクゼクティブバイスプレジデント)は「欧州ではタイヤメーカーとして認知されているコンチネンタルだが、電装品やパワートレインなどタイヤ以外75%を占める企業で、イモビライザーやキーレスエントリーシステムではグローバルリーダーである」と同社の沿革を軽く紹介し、技術的な説明をアネッテ・ヘブリング氏に譲った。

コンチネンタルの発表した新しい「スマートアクセス」は、車と鍵の通信にBLE(Bluetooth Low Energy)またはNFCを利用する。そのため、自動車側のドアロックやイグニッションのコントロールユニットにBLEモジュールを追加し、スマートフォンと通信できるようにしておく。

車のキーとなる情報は、コンチネンタルのバックエンドプラットフォーム(CoBePaと呼ばれるサーバー)からモバイル回線を経由してスマートフォンにダウンロードする。キー情報をダウンロードし、ロック解除やエンジンをスタートするには、専用のアプリ(iOS、Androidどちにも対応)をインストールしておく。

最初に市場に投入されるバージョン(Step1)は、まず車両に2mまで近づくと自動的にアンロック、車を離れれば自動的にロックを行う制御と、車内でスマートフォンを所定の場所に置くとエンジンスタート(ボタンかスマートフォンアプリのボタン)が可能になるという。

ロック/アンロックの制御は、車に近づくアプローチも検知する(BLEのアンテナを車の4か所に設置)ので、通り過ぎるだけ、乗り込む意思がない動きではアンロックされないという。技術的には、ミラーやシート、照明制御、車両情報の管理なども可能で、将来的にはさまざまな制御がスマートフォンでできるようになる。いまの技術でも十分実現可能だが、ウェアラブルやブレスレット型のキーにすれば、そのままジムで運動したりプールで泳いだりもできる(ヘブリング氏)。

コンチネンタルでは、このシステムを2016年内には実際の車両に搭載して市場投入するとしている。メーカーや車種は公表できない段階だそうだ

2018年には、車に乗り込めばエンジンスタートも可能なるように進化させる計画もある。こうなれば、スマートフォンをカバンやポケットに入れたままで、車に乗り込め、すぐにエンジンスタートが可能になる。段階を踏んでいるのは、UIやセキュリティなど自動車メーカー、利用者の反応やニーズを取り込みながら進めるためだ。

車のキーをスマートフォンとするのは、バックエンドのサーバーによって付加価値の高いサービスやパーソナライズ(例えば、運行情報や車両情報の管理、故障予測、シートやミラーの位置を自動設定したり子どもや他人に車を貸すとき、スピード制限を設定したり、特定の機能を使えないようにする)を実現しやすくという目的もあるが、ヴォルフ氏によれば「市場のニーズが大きい。これだけ普及しているスマートフォンでシームレスに車にアクセスするというのは自然な動き」とし、Tier1サプライヤーとしてあらゆるソリューションに対応するための戦略のひとつとしてとらえているようだ。

そのため、「高級車の納車セレモニーには物理キーは必要であり、利用者のマインドとしても従来からのキーは10年、20年ではなくならないだろう」(ヴォルフ氏)とも述べていた。スマートフォンがキーになれば便利だが、忘れたり、なくしたり、壊れたりもする。物理キーを予備として持ち歩きたい人もいるだろう。今後は、物理キーは自宅にマスターキーとして保管するスタイルが普及するのかもしれない。

《中尾真二》

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