【BMW 7シリーズ 試乗】リモート・パーキングを試してみた…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
BMW 7シリーズ 新型
BMW 7シリーズ 新型 全 3 枚 拡大写真
BMW『7シリーズ』に設定された、リモート・パーキング。すでに他社からも出ている自動駐車システムを、車外からリモートキーで行うというものである。

自動走行の実現か!と、浮き足立つ人がいるかもしれないけれど、前述したとおり、これはすでにある技術。よって、車外から操作するといっても、法律的にも特別な許可などは必要ない(どうやら国際的な法律を作ったときは、車外から操作するなんて発想がなかったらしく記述がないらしい)。勝手にリモコン操作で動くとなると、爆弾積んで建物に突っ込むのでは!という物騒な発想に至るかもしれないけれど、リモートキーでの操作範囲は4mまで。それ以上、離れると止まってしまう。4mなら自ら被弾しかねない距離なので、その用途での悪用は厳しかろうなあ。

操作は、リモートキー(エンジンキー)にある2種類のスイッチを、ひとつは押しっぱなしにして、もう一種類を押し続けることによって前進か後退させるというもの。つまり、うっかりキーを落としたら、その場でストップするという仕組み。基本は前進入庫を想定してあり、前進するときのみ、ハンドルを自動できりながらスペースに入れていく。気になるのは、人の飛び出しなどを、操作者が見落としたとき(とくにクルマの影に隠れてしまう子供)に、どうなるかという点である。この対策としては、バンパー位置に駐車用の距離感知ソナーがいくつもついているため、この部分で感知して自動で止まるようになっている。

ためしに私、小走りに車両の後部ぎりぎりを横切ってみたものの、見事に止まってくれた。かなりの精度である。もしも止まりきらずにカツンと当たったとしても、時速は4~5kmと低く加害性が少ないうえに、さらに止まりさえすればロールオーバーすることもない。実用性はしっかり考えられている。

この技術、BMWでは自動運転ではなく、あくまでもユニバーサル・デザインと位置づけているらしい。乗り降りするときにドアをフルオープンしたい高齢者や、チャイルドシートを使う保護者、さらに車椅子ユーザーなど、広いところで乗り降りして、あとはリモート・パーキングでスペースに入れる。そういわれると、車椅子を使う友人がいつも、一般の駐車場にクルマが停めにくいと困っていたことを思い出した。こうした技術が、移動のバリアフリーにつながるのは、うれしいことだと思う。


岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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